これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

化学的に誘導される皮膚の発癌:実験モデルの最新

Monica Neagu;...;Aristidis M. Tsatsaki(2016.3, ONCOLOGY REPORTS )[Chemically induced skin carcinogenesis: Updates in experimental models]

 

理由

自分の研究関連

 

概要

皮膚癌は世界的にヒトに影響する最も一般的な悪性腫瘍であり、その発生は急速に増加している。皮膚の発癌の研究は、科学的研究と臨床研修の両方で主要な関心であり、生体内系の利用は、皮膚の初期の変異と関与するメカニズムの研究を促進し、さらに新しい皮膚がんの治療戦略の開発に繋がる可能性がある。この総説では、化学的に誘導された皮膚ガンのマウスモデルにおけるドメインを検査する皮膚の毒性に関するいくつかの側面の概要を述べる。組織の種類の点で重要な系統の違いや、皮膚腫瘍の発生、臨床的違い、そして数十年前に報告された違いがあり、これは我々の実験で確認された。分子レベルで皮膚腫瘍形成の共通メカニズムが説明されることから、臨床前試験にマウスモデルを使うことは重要である。発がん性物質や炎症性サイトカインによって起こる遺伝的変異や、炎症性サイトカインとケモカインによって維持される同時の炎症が主要進行を促進するという点でこれらの動物モデルは、ヒトの皮膚ガン発生に類似する。ヒトとげっ歯類の皮膚の生理学的違いをふまえた上で、これらの動物モデルを用いて薬剤や環境条件を調べられる。

 

雑記

餅、食った後に全然満腹感を感じないけど、あとからじわじわ来る。

興奮性媒体としての舌

Gabriel Seiden and Sofia Curland(2015.3, New Journa of Physics)[The tongue as an excitable medium]

 

理由

これもなんかの論文に引用されてた

 

概要

地図状舌(GT)は人口の約2%に影響を与える病状であり、ゆっくりした炎症の拡大によって舌の上部を覆う乳頭突起が失われるものである。結果として生じる舌の見た目は、山火事や心力学、化学的に駆動される反応拡散系と多細胞組織の形態形成のような興奮性媒体で観察されるよく知られている非平衡状態現象とかなり類似している。ここでは、GTを興奮性媒体のダイナミクスの新しい例と確認し、動的な系の視点から状況の進化を探索する。特にGTの2つの特徴的な面、傷害部位の異方的な拡大と回復領域への炎症の再侵入に注目した。この研究によって、炎症の進化に焦点を当て、GT患者に見られる特徴的なパターンに基づく状況の深刻さを分類する典型的な方法を提案する。

 

 

印象的な図

Fig1. 下のGTパターン

 

雑記

舌でもこんな螺旋パターンでるんやな

エンドトキシン攻撃に対する急性炎症反応の数理モデル

Anirban Roy;...;Robert S Parker(2007.1, MATHEMATICAL BIOSCIENCES AND ENGINEERING)[A mathematical model of acute inflammatory response to endotoxin challenge]

 

理由

自分の研究関連

 

概要

エンドトキシンに対して、体は急性炎症反応を引き起こすことで対応し、グラム陰性細菌(エンドトキシン)によって起こる脅威を除去し、健康を取り戻す。しかしながら、制御されていない炎症反応は組織傷害や臓器不全さらに究極的には死(肺血症)を引き起こしうる。炎症メディエーター(IL-6やTNF)は炎症反応を促進し、抗炎症メディエーター(IL-10)は炎症シグナルを抑制する。本研究では、エンドトキシン攻撃に対する急性炎症反応系の8次元の微分方程式モデルを作成した。3mg/kgや12mg/kgのエンドトキシン攻撃をラットに行い、IL-6,TNFとIL-10の動的サイトカインデータを得て、モデルの比較に用いた。最後に、同じ6 mg/kgでのラットの実験データとモデルの予測を比較することで、モデルの検証を行った。この8次元モデルは異なる攻撃レベルでのエンドトキシンによる摂動後のサイトカイン動態をうまく捉えた。このことから、このモデルは食細胞と炎症/抗炎症メディエーター間の相互作用に関する概念を与えるかもしれないことが示唆される。

 

雑記

寒波、是非お帰り頂きたい

スケール間イメージングによって解明された螺旋核形成における対称性の破れを起こす細胞理論

Yusuke Hara;..;Takeharu Nagai(2020.6, bioRxiv)[Cellular logics bringing the symmetry breaking in spiral nucleation revealed by trans-scale imaging]

 

理由

自分が参考文献にしている論文を引用している文献を見つけたので

 

概要

多様なシグナル伝達系における時空間スケールで、螺旋波が共通して観察される。形成された螺旋の特性はよく知られているが、生物系におけるその自発的な形成のメカニズムはまだ解明されていない。社会性粘菌の130,000未満の細胞間での細胞内コミュニケーションのスケール間観察の新しく開発されたイメージング系によって、cAMPの開始ダイナミクスを調べ、3つの異なるスケールでの螺旋波の自己組織のメカニズムを確認した。集団レベルでは、構造的な興奮性の不均一性が、その高/低の境界で進行波を断片化し、これが螺旋波の一般的な源となる。細胞レベルでは、ペースメーカーのリーダー細胞とパルスを増強するフォロワー細胞が、興奮性の不均一性の成長を制御する。この間のレベルでは、自発的な波の断片化の要素は、興奮性の高い領域におけるペースメーカーの非対称な位置であり、これは少数の細胞やパルス数、パルス量によって制御されている。

 

雑記

我がラボは、12/31も1/1もほぼ平常運転です

グルタミン酸の自己組織的な複数のリング形成と匍行性迂回状紅斑との関係の可能性

Derek Michael Forrester (2015.3, Medical Hypotheses)[Self-assembled multi-ring formations of glutamine and a possible link to erythema gyratum repens]

 

理由

自分の研究関連

 

概要

体内には多量のL-グルタミンがあり、細胞の増殖に必要である。実際のヒトの生理は、神経シグナルと健康な免疫系を含む大量の機能での正確なグルタミン量を持ち、維持することに依存している。しかしながら、腫瘍化の間に細胞増殖はグルタミン量の上昇を要求し、これは最終的に筋萎縮を引き起こしうる。いくつかの場合、皮膚は根底にある疾患の最初の指標と、複雑なパターン形成の波を示す。このような皮膚の指標の一つは匍行性迂回状紅斑である。通常の生物機能性のものより高いグルタミン濃度の水溶液におけるグルタミン濃度と関係するパターン形成を調べた。匍行性迂回状紅斑のパターンとグルタミンの異常な自己組織的パターンとの驚くべき類似性を発見した。この発見によって、腫瘍学と毒科学におけるこれらの作用の新たな治療と理解が起こるだろう。さらに、グルタミンが関連する形成を利用することで、効率の高いミクロ粒子やナノ粒子の生物機能が支援されるだろう

 

雑記

なんとかやっていくぞ

深刻な炎症の患者における時間的なサイトカインプロファイル:成人と子供の比較

Celeste C. Finnerty;...; Ronald G. Tompkins(2008.6, Molecular Medicine)[Temporal Cytokine Profiles in Severely Burned Patients: A Comparison of Adults and Children]

 

理由

自分の研究関連

 

概要

深刻な炎症は代謝亢進と異化を起こし、結果的に重要な器官の機能障害や構造変化を引き起こす。サイトカインの放出は、この代謝亢進の反応に関連する。炎症傷害に続くこの代謝亢進の反応の深刻度は、年齢と共に増加し、死亡率を増加させる。代謝亢進と炎症反応との関係のため、成人と子供の深刻な炎症に続く血漿のサイトカインプロファイルの比較を試みた。総体表面積(TBSA)の20%以上を占める炎症を持つ25人の成人と24人の子供を用いた。Linco multiplex array system(St. Charles, MO, USA)を用いて22種のサイトカイン濃度を測定した。温度傷害に続いて、炎症性と抗炎症性サイトカインの発現の大きな摂動が見られた。炎症傷害に続く最初の週の間、IFN-γ, IL-10, IL-17, IL-4, IL-6,そして IL-8は子供に比べると大人で有意に高いレベルで検出された。炎症2週間後の間にIL-1βとIL-5で有意な違いが見られた。IL-18は炎症3週間後の間に成人より子供で多かった。炎症後21日と66日の間では、IL-1α は成人の患者に加えて子供で高い濃度で検出された。GM-CSF発現だけは全ての時間の点で有意に差があり、子供でわずかに低かった。Eotaxin, G-CSF, IL-13, IL-15, IP-10, MCP-1, そして MIP-1αは複数の点で成人で有意に差があった。IL-12, IL-2, IL-7, or TNF量はこれらの時間の点で違いは見られなかった。深刻な炎症傷害に続いて、子供の患者におけるサイトカインは成人と比べて異なっており、このことは成人の高い罹患率に関する観点を与えるかもしれない。さらに、子供と成人間の血漿サイトカイン検出には大きな相違が見られた。このことから、これら2種の集団は、炎症後の炎症反応を弱めるための異なる治療介入から利点をえるかもしれない。

 

雑記

ねむいねぇ

生物構造のボトムアップ式の進歩した工学

Vítor M. Gaspar;...; João F. Mano(2019.12, Advanced materials)[Advanced Bottom‐Up Engineering of Living Architectures]

 

理由

ラボセミナーで紹介されてた

 

概要

ボトムアップの組織工学は、元のヒトの組織の複雑な階層と生物機能を要約することを目的とした基本単位の生化学構造を設計する有望な方法である。近年、生物系とその重要な要素への合理的な分解の知見が増加したことで、この分野の興味深い進歩が見られた。より高次の生物構造の作成に向けた単一の生物ブロックのボトムアップ集合における関連する進歩を説明する。これらの実用的な困難と必要な技術を含めて、統合的なボトムアップの組織工学の長く存在する技術と急速に出現した技術をまとめる。生物順応的な特徴と生物特異的な3D設計を細胞生物素材構築と組み合わせることで、治療や疾患モデルと基本的な生物研究の道具に使えるより頑健かつ機能的なヒトの組織の発生に貢献すると構想される。

 

雑記

この論文は全部図がきれいだな