これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

表現形変化を生み出す発生ノイズの役割の解明と定量化

Maria Kiskowski;...;Ylenia Chiari(2018.6, bioRxiv)[Isolating and Quantifying the Role of
Developmental Noise in Generating Phenotypic Variation]

 

理由

パターン形成は面白いね

 

概要

生物における表現形の変化は、典型的にゲノムの変化や環境の変化、そしてそれらの相互作用に起因する。遺伝型と環境が固定されると発生ノイズは、発生中に生じる細胞過程と分子過程における確率性から生じ、また表現型の変化に影響する。発生ノイズの潜在的な影響は、表現型を安定化させ、変異を減少させる生物内の内在的なメカニズムによる表現形変異の研究において過小評価されうる。確率性による表現形変化がどの程度潜在的に適応的であるかを認識し始めたところなので、発生ノイズが表現形変化に与える寄与を分離・測定し、進化におけるその役割を十分に理解しなければならない。ここでは、パターン形成における(発生ノイズに寄与する)ランダム変異の役割をモデル化する数値シミュレーションを用いて、遺伝型や環境による表現形変化と発生ノイズの寄与は、ヒョウモントカゲモドキ(Eublepharis macularius)の頭の色パターンで区別されることを示す。特に、遺伝的もしくは環境の変化に対応するシミュレーションのパラメーターを修正し、8つにヒョウモントカゲモドキの頭に見られる色パターンの幅広い表現型の変化を生み出した。これらのパラメーターの範囲を越えて、遺伝型と環境による変異の要素は、研究されてたヤモリ群における発生ノイズによるものを越えることが観察された。しかしながら、パターニングにおける発生ノイズの効果も実在する。この方法は、反応拡散メカニズムのような自己組織化された過程から得られた結果の通常の形態的特徴に応用される。これは、動物の色素パターニングの縞やスポットパターン、脊椎動物手足における骨のパターン、分節化されたメカニズムにおける体の分節に頻繁に見られる。この方法は進化的生物学の大きな目標の一つ、すなわち表現型変化を形作る確率性の役割の決定に至る。

 

雑記

日常に戻るぞ

色素遺伝子発現における変異は、毒ガエルであるマダラヤドクガエルにおける直接の警告色と関係がある

Adam M. M. Stuckert;...;Kyle Summers (2019.4, BMC Evolutionary Biology)[Variation in pigmentation gene expression is associated with distinct aposematic color morphs in the poison frog Dendrobates auratus]

 

理由

どこかで見つけた論文

 

概要

背景

色素とパターン表現形は、多くの種で生存と繁殖に明らかに関与している。しかしながら、この相関を生み出すメカニズムはまだゲノムレベルではほとんど解明されていない。ここでは、トランスクリプトミクスに基づいた方法で、高度に多形の毒ガエルにおける色とパターンに影響する根底にある遺伝的メカニズムを解明する。変態の最終段階の間の4つの最終段階の間に4つの異なる色形態から皮膚からRNAをシークエンスし、新しいトランスクリプトームを集めた。その後、他の系統から候補の色遺伝子の調査を強調し、発現差異遺伝子を調べた。

結果

全体として、(例えばtryp1, lef1, leo1,mitfのように)メラニン形成、メラノサイト分化、メラノサイト増殖を制御する一連の遺伝子の発現が異なることと、 (例えば、arfgap1, arfgap2, airc, artのように)虹色素胞発生とプリン体合成に関与する遺伝子の発現が異なることを発見した。

結論
結果から、脊椎動物において色とパターンに影響することが知られているいくつかの遺伝子ネットワークが、この種の毒ガエルにおける色とパターンの変異に重要な役割を果たすという証拠が得られた。

 

印象的な図

Fig1. 4種の色パターン

 

雑記

めっちゃチューリングっぽいのに実際にシミュレーションやってる研究が見つからない。

シクロスポリンAがある条件とない条件の伸長した心筋虚血/再灌流に従う免疫反応の時間ダイナミクス

Vitali Rusinkevich;...;Huang-tian Yang(2019.3, Acta Pharmacologica Sinica)[Temporal dynamics of immune response following prolonged myocardial ischemia/reperfusion with and without aA]

 

理由

どこかで見つけたけど忘れた

 

概要

遅い心筋再潅流に続く免疫反応のダイナミクスを理解することは、心筋梗塞(MI)の免疫調節性治療の開発に重要である。シクロスポリンA(CSA)はMIの複数の治療方法を持つが、急性MIによって生じる炎症の効果はまだ解明されていない。本研究の目的は、心筋虚血/再灌流に従う免疫反応のダイナミクスと、遅い再灌流のヒトの条件を模するように作られた心筋虚血のマウスモデルにおけるCSAの効果を調べることである。成体のC57BL/6マウスに90分間の閉胸の心筋虚血/再灌流(I/R)を行う。これは、深刻な心筋傷害と心臓に過剰な炎症を引き起こす。伸長したI/Rによって起こる免疫反応の複数要素解析によって、体循環におけるサイトカイン/ケモカインのピークは、MIの1日後に好中球とT細胞の最大流入で合成される。心筋梗塞におけるサイトカイン/ケモカインのピークは、MIの3日後の最大マクロファージとナチュラルキラー細胞浸潤と一致する。縦隔リンパ節の細胞組成は、心筋梗塞の細胞組織と同様に変わっていた。伸長したI/Rの不完全な心臓機能後のCSA(10 mg/kg/day)は、結果的に生じた跡を拡大し、心臓の血管新生を減らす。伸長したI/Rに晒された心臓における免疫細胞の要素は変化しなかったが、MCP-1と(心臓の)MIP-1αと(心臓と血清)のIL-12の量は、処理しなかったグループと比較してCSA-処理したグループで有意に減少した。このことから、免疫細胞機能における変化が示される。この発見から、伸長した心筋虚血/再灌流後の免疫反応を標的とする免疫調節性治療の開発に必要な新しい知識が得られる。

 

雑記

初葬儀

分化ダイナミクスにおける同調性とノイズ依存性

Gürol M. Süel;...;Michael B. Elowitz(2007.3, Science)[Tunability and Noise Dependence in Differentiation Dynamics]

 

理由

ラボの実習で使う論文

 

概要

分化の動的過程は、根底にある遺伝的回路の構造と定量的パラメーターとノイズに依存する。しかしながら、これらの要素がどのように組み合わさって細胞のふるまいを仔魚するのかは知られていない。枯草菌の競争状態への確率的かつ一過的分化を解析する。いくつかの重要なパラメーターが開始の頻度と能力のある状態の持続を独立に調節し、回路が振動を含む異なる動的体制に至ることができるようになる。回路構造を変えることで、能力の持続がより正確になることが分かった。実験的方法を用いて、全体の細胞ノイズを減らし、ノイズレベルが分化事象の頻度に相関があることが分かった。これらを合わせると、結果から、その動的ふるまいに観点におけるおどろくべき弾性と同調的なノイズ依存的な回路が解明された。 

 

雑記

はやくあったかくなってほしい

ナマコゲノムによって、形態の進化や内臓再生の知見が得られる

Xiaojun Zhang;...;Jianhai Xiang(2017.10, PLOS Biology)[The sea cucumber genome provides insights into morphological evolution and visceral regeneration]

 

理由

ラボセミナーで紹介されてた

 

概要

脊索動物と共通祖先を共有しているにも関わらず、ナマコは特異的な形態と例外的な再生能力を示す。ここでは、イルミナとPacBioプラットフォームを用いて、生態系的に重要なナマコA. japonicusの完全なゲノム配列を示し、30,350のタンパク質指定遺伝子と高い連続性を持つ約805Mbの集合を得た。これを用いて、ナマコの特異的な生物学的特徴の背後にある重要な遺伝的メカニズムを探索する。系統的かつ比較ゲノム解析によって、脊索と鰓裂に関連するマーカー遺伝子の存在を解明し、これらの脊索の特徴は祖先の棘皮動物に存在することが示唆された。ウニ成体の特異的な形と弱い鉱化作用も、バイオミネラル化遺伝子の収縮によって予備的に説明される。誘導された内臓摘出後のゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム解析によって、94アミノ酸(PSP94)様の遺伝子ファミリーの特定の短い重複した前立腺分泌タンパク質と、有意に拡大したフィブリノーゲン関連タンパク質(FREP)遺伝子ファミリーを含む、内臓再生の分子的土台に関すると県が得られた。この高品質のゲノム源によって、医学応用を持ちうる驚くべき再生能力を含む、後口動物における生物学的過程と進化に関する将来の研究の有効な枠組みが与えられる。さらに、マルチオミックスデータが商業的なナマコの増殖事業の最初の価値になるだろう。

 

雑記

おせちにナマコが入ってて、人生初ナマコ食った(大して感動はなかった)

体腔球から着色骨材まで:ナマコ類Cucumaria frondosaの免疫反応における細胞要素と過程

GUILLAUME CAULIER;...;ANNIE MERCIER(2020.10, Biol. Bull.)[From Coelomocytes to Colored Aggregates: Cellular Components and Processes Involved in the Immune
Response of the Holothuroid Cucumaria frondosa]

 

理由

ラボセミナーで紹介されてたやつ

 

概要

いわゆる褐色体は、棘皮動物や他の海洋底生分類群の一般的な空洞における着色骨材として1950年代に最初に発見されたが、その分布や役割はまだ十分に判明していない。本研究では、自由な対腔細胞と、水管系と内臓周囲体腔における対応する骨材("体")、そしてナマコ類Cucumaria frondosaにおける内臓の膜へのそれらの接着を特徴化する。外部の粒子存在に対する反応を調べ、免疫系に関する新しい観念を与える。全部で8種類の体細胞を検出した一方で、骨材は3から6種類の体細胞で形成されていた。水管系では赤色の骨材だけが見られ、一方茶色の骨材は内臓周囲体腔に限定されていた。水管系に注入された外部粒子の封入メカニズムを観察した。最初に、粒子は、食細胞、鞭毛細胞、結晶細胞そして桑実細胞によって白っぽい集合体になり、次にこれは血球細胞に覆われて赤色になる。これが内臓周囲体腔に輸送された後、集合体は茶色になり最終的に肛門から排出される。最後に、幅広いストレス要因(収穫方法、捕食者の存在、物理的傷害)が集合体の数を増加させることが分かり、よってC. frondosaの免疫反応におけるこれらの体の役割を強調する。

 

雑記

ポケモンナマコブシのでっかいぬいぐるみ、超かわいい

一次触覚ニューロンにおけるエッジ方向処理

J Andrew Pruszynski & Roland S Johansson(2014.8, Nature Neuroscience)[Edge-orientation processing in first-order tactile neurons]

 

理由

Twitterで流れてきたやつ

 

概要

触覚系における一次触覚ニューロンの基本的な特徴は、それらの末梢軸索が皮膚で分岐し、多くの伝達部位を形成することである。これにより、多くの感受性の高い領域を持つ複雑な受容野が生まれる。この配列によって、個々のニューロンが、触れるものの幾何的な特徴をシグナル化できるような末梢ニューロンのメカニズムを構成することを発見した。特に、ヒトの指先の無毛皮膚

それらの応答の強度や時間構造の両方を介して、エッジ方向をシグナル化するヒト指先の無毛皮膚を密に刺激する2種類の一次触覚ニューロンを観察した。さらに、ニューロンの感受性の高い領域の空間配置が特定のエッジ方向に対する感受性を予測することを発見した。触覚処理経路における末梢ニューロンは、視覚処理経路における末梢ニューロンと同様に、大脳皮質におけるニューロンに典型的に起因する特徴抽出計算を行うことを提案する。

 

 

 

 

 

雑記

すごいぞ皮膚!って感じですね