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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

CD4+T細胞のHIV感染のダイナミクス

PERELSON, AS; KIRSCHNER, DE;DEBOER, R(1993.3)[DYNAMICS OF HIV-INFECTION OF CD4+ T-CELLS]

 

理由

"Mathematical model"のBiology分野の被引用数3位

 

概要

非感染T細胞、潜在的感染T細胞、活性化感染T細胞、そして自由ウイルスの4種類を考慮したCD4+T細胞のHIVの相互作用のモデルを検討した。

このモデルを用いて、HIV感染の複雑で定量的な特徴の多くは簡単に示されることがわかった。ウイルス成長とT細胞数ダイナミクスにおけるAZT効果も考慮した。

モデルはウイルスが存在しない非感染状態と、ウイルスと感染T細胞が存在する感染状態の双安定状態を示す。活性化感染T細胞分の産生される感染ウイルス数を表すNが危険値N(crit)を下回れば非感染状態が非負の象限の唯一の定常状態で安定である。NがN(crit)を上回れば非感染状態は不安定になり病気の感染状態がむしろ安定であるか、不安定で安定なリミットサイクルを回る。

数値分岐解析手法を用いてこれらの多様なふるまいをパラメーター領域で示した。振動的なふるまいは生物的に現実的なパラメーターの外側の位置にみられた。感染状態が安定なとき、非感染状態に比べてT細胞の数が減少していることが特徴的である。よって、T細胞の欠損は新しい定常状態を作ることで起こる。この新しい定常状態の設立のダイナミクスを数値的、そして準定常状態近似法で検証した。自由ウイルスがT細胞にすばやく結合し、かつウイルスが指数的に増殖する時間スケールの初期にダイナミクスの近似を立て、ウイルス成長が遅い第三の時間スケールと病気の感染安定状態に近づいた。

準定常状態近似を用いると、モデルは動的挙動の多くをまとめた2つの常微分方程式に簡略化される。感染状態のT細胞の度合いを計算し、モデル中のパラメーターによって度合いがいかに変わるかを示す。このモデルによって、感染T細胞中のウイルス数の違いによって生じる特徴的な異なるウイルス系はT細胞欠損の違いを生み、異なる速度の欠損を生じることが予測される。

 

モデルの2つのバージョンを調べる。1つは前駆体からのT細胞の供給が一定であり、もう1つでは感染とT細胞前駆体の破壊を模してウイルス量によってT細胞の供給を減らす。後者では前者よりもより現実的な予測を得た。

 

印象的な図

FIG2.感染のダイナミクスを分かりやすく示している

 

雑記

結果の項だろうに現在形で書いていて分かりにくい・・・。 モデルのふるまい的には似てるけど、20年前の論文だしな・・・。