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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

Wnt経路の実験と理論分析によるAPCとaxinの役割

Lee, E; Salic, A; Kruger, R; Heinrich, R;Kirschner, MW(2003.10)[The roles of APC and axin derived from experimental and theoretical analysis of the Wnt pathway ]

 

理由

"Mathematical model"のBiology分野の被引用数4位。

 

概要

Wntシグナリングは発癌と発生の両方に重要な働きをする。Wnt経路を活性化すると転写の活性化補助因子であるβカテニンを安定させる。最近の研究により、βカテニンの分解と協調するaxin自身も減少することが示された。

Wntシグナルの伝達に必要な重要分子は分かったが、この経路は定量的には理解されていない。重要な構成成分であるWnt,Fizzled,Dishevelled, GSK3beta, APC, axin, βカテニン,そしてTCF間の相互作用を表す標準なWnt経路の数理モデルを作成した。微分方程式の系を用いて、モデルはタンパク間相互作用とタンパク質のの合成と分解、そしてリン酸化・脱リン酸化の動力学を合わせた。

はじめにカエルの卵抽出液を用いた実験から動力、熱力、そして流動的な基底状態を定めた。基底状態に基づいた予測はβカテニンとaxinの入れ替わりにおける長期、または一過的Wnt刺激の効果の解析からより洗練されたモデルの作成に反復的に用いられた。モデルよりWntシグナルのいくつかの特殊な特徴を予測し、そのうちいくつかは実験的に検証された。実験的に検証されたモデルの知見から、axinとAPCの折りたたみタンパク質が分解複合体の形成を異なる経路により促進することが分かった。axinがWntシグナルの増幅と先鋭化に重要であることと、axinの分解がAPC依存的であることは、APCが少ない場合のβカテニンの蓄積を防ぐような未知の制御ループに重要であることを示した。数理モデルの調節解析の応用により、Wnt経路の過敏性と頑健性のモジュラー設計を示し、腫瘍抑制と発癌性の明らかな発現を得た。

 

印象的な図

Figure1. Wntシグナルの反応スキーム

これだけ複雑な系を表せるなら免疫系も包括的に示せるんでは・・?

 

雑記

この日課、ためるとしんどいな

手首いたくなってきた