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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

フィードバックのある側方抑制によるパターン形成:Delta-Notchの細胞間シグナリングの数理モデル

Collier, JRMonk, NAM;  Maini, PKLewis, JH(1996.12)[Pattern formation by lateral inhibition with feedback: A mathematical model of Delta-Notch intercellular signalling ]

 

理由

Pattern formation, Mathematical model を含む論文で被引用数が多いもの

 

概要

発生中の組織の多くでは、分化状態の違いに応じたきめ細かい細胞パターンを作るための特性に応じて近接の細胞が分離する。側方抑制を通じてこのようなパターンが作られ、それによってある運命になった細胞が近接の細胞に対して同様の運命にならないように抑制する。側方抑制はハエや毛虫、脊椎動物でよく記録されている。これらの生物では全て、受容体Notchと近接細胞のリガンドDeltaとの相互作用の調節が分かっている。しかしながら、側方抑制のNotch-Deltaのどのような条件が観察されるようなパターンを作りうるか、や実際にこのメカニズムがそれだけでこのようなパターンを作りうるかについては正確にはわかっていない。

この論文では、このような接触調節型の側方抑制についての単純かつ一般的な数理モデルを作り解析する。実験データに従って、モデルでは抑制効果を受ける(Notchの活性化)と抑制(Delta)分子の分泌能は下がると仮定する。これによって、近接細胞間の差の増幅を起こすフィードバックループができる。このモデルの時間と位置のふるまいのパターン形成について、解析的と数値シミュレーションの両方で調査する。フィードバックを十分強くすると他の機構がなくても不均一性が自己増幅し、発達していく。

初期条件や境界条件を大きく変えても、モデルは実際の生物で観察されるきめ細かなパターンに類似していた。

 

印象的な図

FIG6. 初期条件のちがいによるパターンの違い

 

雑記

研究室の椅子がバランスボールになりました。慣れるまではなかなか集中できない