炎症反応の一つであるアテローム性動脈硬化の数理モデル
Ibragimov, AI; ...Walton, JR(2005.12)[A mathematical model of atherogenesis as an inflammatory response]
理由
前回の論文"Reaction-Diffusion waves in biology"の中の印象的な図の元文献
概要
この論文では、慢性炎症反応であるアテローム性動脈硬化のラッセルロスの業績の単純化に基づくアテローム性動脈硬化病変の初期形成の数理モデルを作成した。
アテローム性動脈硬化は動脈壁において脂質を持った細胞が蓄積することが特徴の症状である。この症状によって病変部では動脈が血流を制限している腔内へ成長する可能性があり、深刻な場合では動脈が破裂し、突然、血管が完全に閉塞してしまった結果、心臓発作や脳卒中、死に至る可能性もある。
いまでは、化学修飾された低密度コレステロール(LDL colesterol)が人体の動脈壁に入ると、生化学シグナルによる免疫反応の送信と免疫やその他脈管構造にある細胞による受信を引き起こす可能性が知られている。修飾LDLがあることで、自然免疫機能が改悪され、さらなる免疫反応や究極的には慢性炎症を引き起こすこともある。数理モデルの作成に際して、血管系疾患(CVD)の病因の炎症要素に注目した。この研究は人の血管と血流中の化学的、そして細胞の種類間の相互作用に重きを置いているため、1970年にE. F. Keller と Lee Segelによって最初に作られた 化学走性のモデルを用い、現在のモデルでは、症状の進行に関与する様々な種類の状態を記述する非線形反応拡散方程式と共役させた。数値シミュレーションを用いることで、このモデルが免疫細胞の局在化や脂質や堆積物の蓄積や平滑筋による病変の分離などのCVDで観察される特徴を捉えていることを示す。
印象的な図
FIG5. 免疫細胞と筋細胞の進化(?)
FIG7. 最終的な免疫細胞の状態
雑記
内容的にも近く、図の示し方や論文の書き方など、参考にできる部分が多い。よい論文を見つけた。
追記。
タイトルがに似ている別の論文を読んでた・・・読みたかった論文は月曜に。