これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

炎症障害の一つであるアテローム性動脈硬化の数理モデル

N. EL KHATIB;...;V. VOLPERT(2009)[Mathematical modelling of atherosclerosis
as an inflammatory disease]

 

理由

 前回の論文"Reaction-Diffusion waves in biology"の中の印象的な図の元文献

 

概要

アテローム動脈硬化は炎症性の疾患である。アテローム動脈硬化の過程は、酸化された低密度リポタンパク質(LDLs)が血管の内膜に入ったときに始まる。抗炎症性反応は単球の補充を引き起こす。内膜で一度単球がマクロファージや泡沫細胞(脂肪蓄積マクロファージ)に変形すると、炎症性サイトカインと単球のさらなる補充を起こす。この自己増幅過程によってアテローム動脈硬化局面が形成され、破裂を起こす可能性がある。

この論文では、炎症過程を説明するために、反応拡散方程式に基づいた2つの数理モデルを作成した。最初のモデルは1次元である。このモデルは内膜の厚さを考えず、内膜中のox-LDLが低濃度の場合は慢性炎症反応が起こらないことを示す。中間の濃度のox-LDLは双安定性を示し、感染や障害などの特定の状況によって刺激されると進行波を生じる。高濃度のox-LDLは単一安定状態を示し、非炎症の場合に小さな障害が入っても慢性炎症反応に相当する進行波の広がりが見られる。次に提案するモデルは2次元モデルで、サイトカインの濃度の関数として単球の補充を説明するために非線形境界条件を持つ一片の反応拡散系を示す。この研究で進行波の存在と以前のけっかを確かめ、それによりアテローム動脈硬化は反応拡散波で発達することが示された。2つのモデルは数値計算で確かめられた。後半のことによって、2次元モデルは内膜の厚さが0の場合として1次元の結果を収斂することが示された。

 

印象的な図

Fig1.1Dmodelと2Dmodelの比較

Fig2. 波の発生と拡大の図

 

雑記

読みたかったやつはこれです。タイトルが最後の1語しか違わなくて普通に間違えた。