前側神経発生はDel1を必要とする。Del1はマトリックス関連タンパク質で、Ror2経路を介して標準的なWntシグナルを弱める
Takai, Akira;...;Sasai, Yoshiki(2010)[Anterior neural development requires Del1, a matrix-associated protein that attenuates cannical Wnt signaling via the Ror2 pathway]
理由
昨日読んだ猪俣先生の別論文
概要
初期発生の間は、勾配パターンのシグナルの活性によって前後軸(AP)に沿って神経板が指定される。特に、標準的なWntシグナルの衰弱が前脳領域の決定に重要な役割を果たす。この論文では、前神経板で発現する細胞外マトリックス(ECM)タンパク質Del1はカエル胚の前脳発生に重要である。Del1の過剰発現は前脳領域を拡大し、コーディン誘導性の二次的な軸での目などの脳構造の形成を促進する。逆に、モルフォリノ オリゴヌクレオチド(MO)によってDel1機能を抑制すると、前脳発生が抑制される。Del1は神経化した動物極細胞での前脳マーカーの発現も促進する一方で、Del1-MOは抑制する。以前に、Del1は原腸周辺領域の背腹パターニングにおけるBMPシグナリングを妨げることを示した。一方で、AP神経パターニングにおけるDel1機能は標準的なWntシグナリングの抑制によって主に調節される。Wnt誘導型の神経板の背側化はDel1によって抑制され、Del1-MO表現型(背側化)はDkk1によって取り消される。 Topflash reporterアッセイによってDel1はWnt1とβカテニンによって誘導されるルシフェラーゼ活性を抑制する。このDel1がBMPシグナリングではなくWntシグナリングを抑制する効果は非標準型のWntシグナリングに関係するRor2経路を要求する。これらの発見によってECMタンパク質Del1が特異な経路を介して背側化のWntシグナルに対する細胞反応を弱める局所環境を作ることによって前脳形成を抑制することが示された。
印象的な図
とくになし
雑記
一日中ずっと眠い