これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

混雑した媒体でのERK MAPキナーゼリン酸化の定量的モデル

Kazuhiro Aoki;...;Kazunari Kaizu3 & Michiyuki Matsuda(2013.3, SCIENTIFIC REPORTS)[A Quantitative Model of ERK MAP Kinase Phosphorylation in Crowded Media]

 

理由

青木先生シリーズ2

 

概要

細胞質はかなり高密度で巨大分子を大量に含んでいる。分子クラウディングと呼ばれるこの著しい細胞内環境の特性が細胞内シグナリングにどのように影響するかは特徴づけられていない。この論文では、MEK MAPKKによるERK MAPKリン酸化における分子クラウディングの効果を調べた。混雑物としてポリエステルグリコール-6000(PEG-6000)を疑似的な細胞内環境に追加することで、全体のERKリン酸化率に対する二相化反応を誘発した。さらに、ERKの活性化ループ中のチロシンスレオニン残基の進行性のリン酸化(酵素の処理能力)の確率はPEG-6000濃度の上昇に対して非線形に上昇した。実験データに基づいて、熱力学反応、粘度そして混雑した媒体の進行度の効果をすべて組み合わせた最初の数理モデルを作成し、ERKリン酸化は遷移状態が限られた反応であることが分かった。数理モデルによって、遷移状態限定反応から拡散限定反応まで広範囲の反応速度論における分子クラウディングの効果を正確に見積もれるようになる。

 

雑記

分子クラウディング、結構おもしろいかも。

分子が込み入ってると反応しやすいってのもあるけど、場所的に制限されるってのは細胞内の一ヶ所で反応する酵素を作りやすいってことで少数性生物学にもうまく繋げられそう。