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エピジェネティックなフィードバック制御によるワディントンの地形におけるホメオレシス

Yuuki Matsushita; Kunihiko Kaneko(2019.12, arXiv)[Homeorhesis in Waddington's Landscape by Epigenetic Feedback Regulation]

 

理由

金子先生シリーズ

 

概要

多細胞生物において、初期発生期に細胞は異なる様々な種類に分化する。それぞれの細胞種の割合と細胞分化中の発生過程に沿って各細胞状態の決定は、発生中のノイズや環境摂動に対して頑健な、かなり制限された過程である。ワディントンは、各細胞状態の頑健性があるエピジェネティック地形としてこの頑健性を比喩的に記述し、地形のそれぞれの谷によって表した。今はこの頑健性は、遺伝子発現動的システムにおけるアトラクターに向けた方法として概念化されている。しかしながら、分化過程に対応する谷の分岐を伴う地形の変化の起源の理解はまだ不完全である。発生生物学における最近の進歩によって、エピジェネティック修飾に関与する分子過程が解明され、ゆっくりした地形の変化の特性を理解するカギになるだろう。それにも関わらず、遺伝子発現とエピジェネティック修飾との相互作用が頑健な地形変化に与える寄与、すなわちホメオレシスはまだ明確でない。この研究では、制御ネットワークによって動かされる遺伝子発現ダイナミクスにエピジェネティック修飾を組み合わせた理論モデルを紹介する。このモデルにおいて、エピジェネティック修飾は発現の実現可能性を変化させる、すなわち発現ダイナミクス閾値や発現から閾値への遅いフィードバック過程を導入した。このようなエピジェネティックフィードバック下で、異なる発現パターンを示すいくつかの固定点アトラクターは、谷の連続した分岐を持つエピジェネティック地形を階層的にかたどる。この理論によって、遅いフィードバック強化をもつ動的システム理論に基づいて、ワディントンによって仮定された発生のホメオレシスを説明する定量的な枠組みが与えられる。

 

雑記

後期課程の出願を終えた...。