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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

第2章 蝶の翅のパターンと進化(前編)

三村昌泰(2005.11, 東京大学出版会)[非線形非平衡現象の数理 第2巻 生物にみられるパターンとその起源]

 

理由

パターン形成の勉強

 

概要

2.1 はじめに

平行配列パターン:翅の基部から外縁方向に向かって平行に並んでいる。すべてのチョウ・ガに共通して観察される。

カラーパターン:数十から数百の色付きの鱗粉からなるモザイク模様である。

本章では、チョウのパターンの基礎をなす「鱗粉の平行配列パターンとその形成機構」と「多様ねカラーパターン形成機構」について、関係する実験と数理モデルについて議論する

2.2 平行配列パターン形成

2.2.1 平行配列パターンとは何か

鱗粉は体の軸方向に、すなわち翅の前後軸方向にほぼ平行に配列し、さらに翅の絹から外縁部方向に等間隔で並んでいる

2.2.1 平行配列パターン形成機構の実験的基礎

1. 平行配列を生成する細胞移動は翅の単一上皮細胞層で起こる

2.  鱗粉前駆細胞のランダムな配列パターンを形成する仕組みは側方抑制機構である

3. 差次的細胞間接着

4. 位置依存の細胞間接着性

5. 細胞間の長距離相互作用

2.2.3 平行配列パターン形成モデル

細胞が接着性の勾配に向かって移動してパターンを形成する一般的なモデルを構築する

1. 積分表示(の仮定)

細胞同士はその元の位置間の距離に依存して相互作用する

細胞の移動が拡散と移流で起こる

接着性の度合いに対する物理的距離と接着性距離の影響がお互いに無関係である

2. 数理モデルの数学的解析-積分形式から偏微分方程式

非線形解析法と数値計算法で解析する

1. 初期依存のない細胞間接着力を含むモデル

特異摂動法を使って、細胞密度関数の振幅の弱非線形的ふるまいを調べる。

2. 初期依存の細胞間接着力を含むモデル

位置依存の細胞間接着力が平行配列パターン形成に対して重要な役割を果たしている。これは、翅の基部から外縁方向に向かって、接着力に関する勾配があることを示唆している。

 

雑記

気もそぞろ