これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

第4章 生物の形づくり(後編)

三村昌泰(2005.11, 東京大学出版会)[非線形非平衡現象の数理 第2巻 生物にみられるパターンとその起源]

 

理由

パターン形成の勉強

 

概要

4.4 分化細胞を均一に点在させる

4.4.1 早い者勝ちルールが支配する細胞集団

ショウジョウバエ胞胚の神経芽細胞形成

細胞分化のラテラル抑制:細胞間で抑制シグナルが働いている

4.4.2 早い者勝ちルールを説明する反応論

細胞間の相互作用がポジティブフィードバック的に進むことで早い者勝ちルールを説明した

4.4.3 早い者勝ちルールとチューリングモデル

早い者勝ちルールにより有か無か式に分化が決まるというセルオートマトン的な表現は、反応拡散系のチューリングモデルと似ている。

インヒビターが隣だけでなくさらに次の隣にも伝わるとしたら、シアノバクテリアで知られる異なるタイプの異なる細胞が10個ごと現れる。

4.5 拡散分子(モルフォゲン)によらない細胞の位置決め機構

4.5.1. 生体内の位置を示す情報

多細胞生物内の細胞があるべき位置にあるべき細胞が配置される機構

(a) その位置にある細胞が位置を認識して細胞が特殊化する

(b) はじめに特殊化した細胞があってm、これが動いてあるべき位置に移動する

4.5.2 ephrinリガンドとそのリセプターEph

ephrinと呼ばれる細胞膜タンパク質とそのリセプターであるEph分子

細胞接着について最適のリガンド密度がある:バイラテラル閾値制御

4.5.3 網膜の視細胞は自分の行先を知っている

神経が自分のきまった場所を知っていてそこにたどり着く機構:視神経軸索のサーボ機構モデル:Ephリセプター分子とephrinリガンドの密度勾配に応じて軸索末端が這い回り運動を止める

4.5.4 似たものどうしが集まる仕組み

Eph-ephrin系によって、いろいろな細胞を集めただけで細胞たちは勾配を自動的に構築する

正常な発生の過程では起こらないのだが、何かの理由で攪乱が起こっても細胞は秩序をつくりそれを維持する能力がある

4.5.5 2種類の細胞がつくるパターン形成

細胞差次接着モデル:同じ細胞どうしの接着力が、異なる細胞どうしの接着力より強いとすれば、細胞がランダムに動いて隣の相手が変わる間に接着の強いものどうしが集まるソーティングが起こる

4.5.6 細胞内反応

1つの細胞にリセプターとリガンドが互いに相互作用しながら一定の関係を保って共発現する分子機構

4.6 身体に左右非対称構造をつくる

4.6.1 左右の違いを伝えるためには

生体を構成している分子にキラリティをもつ分子があり、その片方だけから生体が構成されていることでわれわれの体は定まった非対称性をもっている

4.6.2 共通の基盤はなにか

心臓形成時に起こるチューブのねじれの向き

アミノ酸がL型のため、タンパク質で構成された細胞骨格も非対称である。しかし、繊毛の波打ち運動による非対称的流れが、身体の左右非対称の理由だと考えられる。

4.6.3 右から左への流れ

ヘンゼン結節での流れによりNodalのような因子の濃度が左右で異なり、これがきっかけで身体の左右で細胞の分化の方向が異なる

4.6.4 分子のキラリティーと繊毛の運動

繊毛はその構成単位(チューブリン)についても、構成単位の配置についても非対称

4.6.5 左右非対称の反応論的理解

わずかな濃度差がポジティブフィードバックループを介して決定的な違いに繋がる

4.7 おわりに

遺伝子の働きがつくるネットワークが総体としてどんな結果をもたらすかを知るには数理的手法が必要である

 

雑記

他の主要な酒は飲めるけど、ビールだけは本当に苦い。なんであんなもの飲んでるのか理解できないな