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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

浸潤突起形成の数理モデル

Takashi Saitou;...;Takashi Suzuki(2012.4, Journal of Theoretical Biology)[Mathematical modeling of invadopodia formation]

 

理由

昔買った実験医学の数理モデル特集を改めて読もうの企画

 

概要

浸潤癌細胞は、癌の浸潤において重要な過程を行う、浸潤突起と呼ばれるサブ細胞膜構造を特化させることが観察されている。浸潤突起は細胞質内で異常に発生し、数μm長以下の小さな区切りのある指のような突起である。それらは数10分から1時間のタイムスケールで存在する。浸潤突起の形成にはいくつかの過程が必要である。それはアクチンの再構成、細胞外マトリックス(ECM)の分解、上皮成長因子受容体(EGFR)とマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)合成と浸潤界面の輸送である。本論文では、これらの素過程の共役を調べる数理モデルを考え、このモデルにおいて浸潤突起がどのように現れるかを調べる。数値計算シミュレーションを用いて2つの空間次元における時空間動態を調べる。モデルの特殊なパラメーター領域では、ECM減少のランダムな変動とMMPsの上方制御に関するフィードバックループによって、浸潤突起と同じ大きさと寿命をもつ指のような突起を再現することができた。本研究によって、癌細胞において浸潤突起がどのように現れるかと、なぜ空間スケールと時間スケールが浸潤突起に存在するのかに関する新しい考えが得られる。

 

雑記

「浸潤」と「湿潤」毎回書き間違える