細胞全体の計算モデルは遺伝型から表現型を予測する
Karr JR;..;Covert MW.(2012.7, Cell)[A whole-cell computational model predicts phenotype from genotype.]
理由
実験医学数理モデル特集の第3章8. 「生物機能のコンピューター支援設計(CAD)」の参考文献
概要
個々の分子とそれらの相互作用から複雑な表現型がどのようにして生じるのかを理解することは、計算機的な方法が用意されている生物学において重要な問題である。ここでは、ヒト病原体であるマイコプラズマ・ジェニタリウム の全ての分子と相互作用を含む細胞周期の全細胞計算機モデルを示す。多様な数学を結合した統合モデリング法によって、基本的に異なる細胞内過程と実験的測定を同時に包括することができる。この全細胞モデルは全ての既知の遺伝子機能を説明し、幅広いデータによって証明された。このモデルによって、未観察の細胞ふるまいに関する知見が多く得られた。これらには、タンパク質-DNA結合の生体内速度やDNA複製開始と複製の持続期間の逆相関が含まれる。加えて、モデルの予測によって導かれた実験解析によって、以前に検出されなかった動力学パラメーターと生物学的機能が同定された。結論として、包括的な全細胞モデルは生物学的発見を促進するために用いることができる。
印象的な図
Fig7. 野生型と変異体の比較と新しい遺伝子機能や動力学パラメーターの同定
雑記
「これでこの中全部の遺伝子機能を組み込んだ!」ってどうやって決めるんだろう。実験としては「"既知の"全て」って書くしかないんだろうし、実証実験と合わせて未知の機能がぽんぽん出てくるんだから、終わりがないような・・・?