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指数関数あてはめを用いるFRAP複合解析によるCADM1を含む細胞接着タンパク質複合体の動態制御

Mika Sakurai-Yageta;...;Yoshinori Murakami(2015.3, PLoS ONE)[Dynamic Regulation of a Cell Adhesion Protein Complex Including CADM1 by Combinatorial Analysis of FRAP with Exponential Curve-Fitting]

 

理由

実験医学数理モデル特集の第4章1. 「細胞接着分子CADM1複合体の動態解明」の参考文献1

 

概要

細胞接着機械のタンパク質要素は、静的な状態の上皮細胞においても常に入れ変わっており、正常な上皮構造と腫瘍抑制の形成と維持に関与する。CADM1は細胞接着分子の免疫グロブリンスーパーファミリーに所属する腫瘍抑制因子であり、細胞質においてアクチン結合タンパク質4.1Bと足場タンパク質MPP3と細胞接着複合体を形成する。ここでは、蛍光褪色後回復(FRAP)解析によって、成熟した細胞接着におけるCADM1-4.1B-MPPの動態制御を調べる。通常のFRAP解析は10分間の相対的に短い期間で行われる。今回は、感度の高いレーザー検出系の進歩のおかげで、60分の長い期間でCADM1複合体のFRAPを調べることができ、異なる拡散定数を持つ分画に対する指数関数あてはめを用いて回復を解析する。この方法によって、CADM1の蛍光回復は約16分の時定数τを持つ1つの指数関数があてはまるが、4.1BとMPP3は約40-60秒と16分の2つのτをもつ2つの指数関数があてはまることが分かった。大きい方のτはCADM1のτと同じであることから、4.1BとMPP3は2つの異なる分画を持ち、1つはCADM1との複合体であり、他方は自由分子として存在するものである。蛍光染色解析における蛍光褪色によって、膜付近にこれらの自由分子が存在することが支持された。さらに、2つの指数関数あてはめによって、自由分子と複合体して存在する4.1BとMPP3の割合は、それぞれ約3:2と3:1と推定された。これらの解析によって、4.1BとMPP3の複合体の安定化におけるCADM1の役割が明らかになり、接着複合体形成の動態における知見が得られる。

 

雑記

褪色エントリ