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MT1-MMP依存的なECM分解と介在戦略の計算機モデルの構築と実証

Daisuke Hoshino;....;Kazuhisa Ichikawa(2012.4, PLoS Comp.)[Establishment and Validation of Computational Model for MT1-MMP Dependent ECM Degradation and Intervention Strategies] 

 

理由

実験医学数理モデル特集の第4章1. 「細胞接着分子CADM1複合体の動態解明」の参考文献2

 

概要

MT1-MMPは攻撃性癌細胞によって用いられる影響力のある浸潤促進性膜タンパク質である。MT1-MMPは浸潤突起と呼ばれる膜の突起に好んで局在し、ここで周囲の細胞外マトリックス(ECM)の分解に中心的な役割を果たす。先行研究より、ECM分解におけるMT1-MMPの持続的供給の役割が提案された。しかしながら、MT1-MMPのターンオーバー率と、浸潤突起でターンオーバーがECM分解に与える影響は解明されていない。この問題を解決するため、単一の浸潤突起に焦点を当てMT1-MMPを蛍光タグ付けしたFRAP(蛍光後褪色回復)実験を行い、FRAPシグナルの回復が時定数26sと259sの時定数をもつ2つの指数関数で近似される非常に速い回復であることを発見した。この回復は主に膜輸送に依存していたが、側方抑制は非常に小さかった。次に、FRAP実験で観察された動力学を用いて計算モデルを構築した。このシミュレーションはFRAP実験を十分に再現した。次に、シミュレーションと実験の両方において膜輸送を阻害した。実験的には膜輸送の阻害剤の追加によってECM分解が阻害され、シミュレーションでは膜輸送阻害下では大きなECM分解が見られなかった。加えて、ECM分解における減少率はMT1-MMPターンオーバーにおける減少率に依存した。よって、実験とシミュレーションによって浸潤突起でのECM分解におけるMT1-MMPのターンオーバーの速さの役割が分かった。さらに、シミュレーションによって、ECM分解に対するタンパク質分解活性とMT1-MMPターンオーバーの協調的貢献が示された。これは、両方の要素が同時に減少するときECM分解が非線形に驚くほど減少するためである。我々の計算モデルによって、癌細胞浸潤の介在戦略を設計し、開発するための新しい計算機ツールが与えられる。

 

雑記

ちょっと前のやつ、溜めといて忘れてた