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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

p38活性の振動が炎症性遺伝子発現を効果的に制御する

Taichiro Tomida;...;Haruo Saito(2015.9,  nature communications)[Oscillation of p38 activity controls efficient pro-inflammatory gene expression]

 

理由

実験医学数理モデル特集の第4章4. 「炎症シグナルにおけるp38活性オシレーションの解析」の参考文献1

 

概要

p38 MAPキナーゼシグナル伝達経路は炎症反応を制御し、抗炎症薬の重要な標的である。インターロイキンIL-1β(IL-1β)などの炎症性サイトカインはp38を一過的に(60分以上)誘導するだけに見えるが、より長いサイトカイン処置がp38依存的な作動遺伝子の誘導に必要である。ここでは、Forster共鳴エネルギー移動(FRET)ベースのp38活性レポーターを用いて各細胞におけるp38活性動態を調べる。初期の活性の発火後、p38MAPK活性はその後継続的なIL-1β刺激下で8時間以上振動することを発見した。しかしながら、この振動は非同期的で、p38活性集団平均を測定すると基底値よりわずかに高いだけであった。実験的に実証した数理モデルによって、p38の非同期的な振動は2つの特異的なリン酸化MKP-1/DUSP1が関与する負のフィードバックを介して生成されることが示された。振動的なp38活性が、IL-6やIL-8そしてCOX-2のような炎症性遺伝子の高t¥率的な発現に必須であることを発見した。

 

印象的な図

Fig p周期的な振動を制御するp38活性の数理モデル

 

雑記

FRETって「fluorescence resonance energy transferの略称として用いたが、実際には蛍光を伴わないエネルギー移動であることから、現在ではFörster resonance energy transferと呼ぶ事がIUPACにより推奨されている。(Förster共鳴エネルギー移動 - 脳科学辞典)」だったんだ・・・。全く知らなかった