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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

ヒトの微生物における微生物共生

Karoline Faust ;...;Curtis Huttenhower(2012.6, PloS Computational Biology)[Microbial Co-occurrence Relationships in the Human Microbiome]

 

理由

実験医学数理モデル特集の第4章13. 「代謝ネットワークを用いた微生物生態系の可視化」の参考文献1

 

概要

健康な微生物叢は個体内と個体間で驚くべき多様性を示す。外部曝露の追加において、住んでいる微生物間の(競争的または協力的な)生態関係がこの多様性に重要な要因である。よって、微生物間にどんな関係が存在するのか、そしてそれらの根底にある理由を解明することは興味深い。初期のヒト微生物プロジェクト(HMP)研究は239人と18の異なる微生物を含み、このような関係を検出し、集め、解析するためのかつてない情報源を与えた。ここでは、一般ブースト線形モデル(GBLMs)にこのコホートの分類マーカー(16S rRNA)プロファイルを組み合わせて複数の類似測定に基づくアンサンブル学習を行った。その結果、ヒトの微生物を通じて197の分岐群間で3005の有意な共生と競争の関係の全体的なネットワークが得られた。このネットワークによって、体内の場所の関係に付随する体内の場所と数に生じる多くの微生物関係内の強いニッチ特異性が解明された。中咽頭内の微生物細菌叢は3つの異なる場所に分かれ、それら自身は腸の微生物の構成に直接は影響しない。逆に、膣のような場所では、領域特異的な相互作用の分類はなかった。既知の生化学的依存性によって支持される歯肉縁下におけるPorphyromonaceaeファミリーと連鎖球菌の競争関係のような個々の相互作用の根底には異なるメカニズムが存在する。幅広い系統グループ間のこれらの違いは、桿菌と紡錘菌にも見られ、例えば他の分岐群由来の分類群の排除を多く含む。バクテリア間で系統と機能的類似性を比較することで、有意常在分類群(腸におけるPrevotellaceae やBacteroides )はしばしば競争するが、潜在的な病原菌(歯垢における TreponemaやPrevotella)は補完的なニッチにおいて共生するらしいことが分かった。よって、この方法によって、ヒトの微生物に微生物生態における将来のメカニズム研究に新たな機会が与えられる。

 

雑記

違う場所に住んでるやつが共生する、競争するってのはおもしろい。その先に(その結果)ヒトの状態がどう変わるのかまでわかると尚おもしろい