これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

ヒトの微生物における種間の代謝モデルは集団レベルの集合規則を解明する

Roie Levy and Elhanan Borenstein(2013.7, PNAS)[Metabolic modeling of species interaction in the human microbiome elucidates community-level assembly rules]

 

理由

実験医学数理モデル特集の第4章13. 「代謝ネットワークを用いた微生物生態系の可視化」の参考文献3

 

概要

ヒトの微生物は健康に重要な役割を果たし、かつ多くの病気に関係する。メタゲノムに基づく研究によって、健康な微生物や病的な微生物の組成に関する貴重な情報が生まれ、非中立的な集合過程と複雑な共生パターンが示された。しかしながら、微生物叢を構築する根底にある生態学的強制力はまだ解明されていない。特に、相互作用のメカニズムや潜在的な競争、栄養共生に関する情報のない組成研究だけでは、住環境の選別と種の分別集合過程を明確には区別できない。この問題を解決するため、ゲノムスケールの種間の相互作用の代謝モデリングに、メタゲノムに基づく組成データを組み合わせて計算機的な枠組みを紹介する。in silico 代謝ネットワークモデルを用いて、154の微生物種間の競争と補完のレベルを予測し、予測された相互作用測定を種の共生と比較する。この方法を腸内細菌の組成を記している2つの巨大なデータセットに応用して、種が強く競争する頻度が高い種間で共生する傾向があることから、微生物の集合は住環境選別によって支配されることが示された。さらに、仲間と競争相手は異なる代謝相互作用レベルを示す。重要なこととして、これらの傾向は系統だけでは説明できず、複数の系統レベルにまたがっていることがわかった。興味深いことに、宿主の健康の制御は、観察されたパターンでは見られないことから、種間の軸は巨大な生態学的な宿主状態によって十分定義されるものではないことが示された。ここで示した方法は、宿主関係の集団の集合に関する重要な質問を解決するためや、微生物を操作するための臨床的効果を知るための逆生態的な枠組みの設立の礎となる。

 

印象的な図

Fig2. 仲間の種が競争相手の種よりも高く代謝競争を行っている

 

雑記

この論文も前読んだやつと似ているようで反対の意見を言ってておもしろいな