これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

ウイルス性動物原性感染症の炎症反応におけるサイトカイン動態のモデル

Wenjing Zhang;...;Linda J S Allen(2019.9, Math Med Biol.)[Models of cytokine dynamics in the inflammatory response of viral zoonotic infectious diseases]

 

理由

炎症促進と抑制の相互作用を知りたくて

 

概要

鳥インフルエンザやハンタウイルス、そしていくつかのコロナウイルスのような動物原生病原体からの感染に対する炎症反応は、ヒトの宿主に対するウイルスの自然保因者において直接違っている。自然保因者の研究ほどではないが、炎症促進反応とウイルス複製は制御されているようであり、明確な病理は見られない。一方で、ヒトにおいては初期に大量のウイルスを接種すると、サイトカインストームとして知られる攻撃的な炎症反応が起こる。保因者とヒト宿主間の感染の流れにおいて重要な差異は、炎症反応である。この調査では、炎症促進性と炎症抑制性の反応の2成分微分方程式と詳細な数理解析を適用し、単一の安定な地域性の平衡と、双安定性もしくは周期解のパラメーター空間における特定の領域を発見した。決定論的モデルから2つの確率モデルに拡張することで、局所的な細胞レベルから全体的な組織レベルで見られる反応の多様性が説明された。確率モデルにの数値解から、ヒト感染における自然保因者における慢性感染に典型的な結果が示された。モデルパラメーターが双安定や周期解の領域にあるとき、慢性感染における高い反応と低い反応間の偶然の発火が起こる。パラメーター領域が単一の安定な地域性の平衡にあり、強い炎症反応を伴うとき、強い炎症促進反応と弱い炎症抑制反応を示すサイトカインストームが起こる。モデル解析とシミュレーションの結果は、自然保因者の感染もしくはヒト宿主の感染に見られるサイトカインの機能的な役割と炎症反応の観点から解釈される。

 

雑記

2019年9月の論文でその名を聞くとは思わなかった、著者たちも今頃色々駆り出されて忙しかったりするんだろうか