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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

速さと倹約:多様な歩行戦略が獣脚類恐竜における脚の伸長を駆動する

T. Alexander Dececchi;...Hans C. E. Larsson(2020.5, PLOS ONE)[The fast and the frugal: Divergent locomotory strategies drive limb lengthening in theropod dinosaurs]

 

理由

これもラボSlackに落ちてたやつかな

 

概要

脚の長さと歩行性そしてスピードは、獣脚類古生物学において長らく関心のある領域である。なぜなら移動能力、特に走行能力は餌になることを避けるため、また餌を追い求めるために重要である。走行能力のアロメトリーの影響と最大身体サイズの制限効果は伝統的に見落とされてきた。いくつかの異なる非鳥性の獣脚類系統はそれぞれ、1000kg以上の地上生肉食哺乳類として知られるものより大きい身体サイズに進化したので、このような大きい質量が移動能力とエネルギー論に対する効果は、中生代の古生物学に重要な解釈をもたらす分野である。ここでは、身体サイズ、足の長さ、走行スピードを評価するためいくつかの異なる計量法を組み合わせたデータセットを用いて、走行能力におけるアロメトリーの効果を計算する。末梢の足の長さや相対的な後足の長さのような非鳥の獣脚類における関心を評価するために従来の計量法を調べる。そしてティラノサウルス科 とより基本的なアロサウルス上科やケラトサウルス科のような巨大肉食動物の間の相対的な後肢伸長のエネルギー費用貯蓄を比較する。身体サイズの制限効果を組み合わせると、新しく提案された末端肢の指標を含む一般的に用いられる計量法の間に、トップスピードの相関は見られなかった。データから、走行能力の最大化の観点において大きい身体の獣脚類と小さい身体の獣脚類間に有意な違いがあることから、生物のサイズに基づいて肢の伸長を促進する2つの異なる戦略が提案された。小さいサイズと真ん中のサイズの獣脚類では、足の長さの増加は、トップスピードの増加要請と相関する一方で、より大きいサイズの系統ではエネルギー効率性と餌採費用により直接的に相関する。3D体積質量推定を用いて、ティラノサウルス科はより根本の分類群に比べて輸送費用を優位に貯蓄することから、餌採の間エネルギー支出を減らし、狩りの進出の必要を減らすことが示唆された。このことから、獣脚類の間に後肢の進化は一つの特異的な戦略によって説明されることではないことが示唆された。小さい身体サイズの間では、捕食者と被食者の両方で存在する競争圧力、一方で大きい生物では、捕食圧はないが、最大採餌能力を求める。特定の分類群と古生物学と古生物の復元の全体の相互作用の解釈についても議論する。

 

印象的な図

Fig5. サイズと走行速度の関係

 

雑記

あいかわらずPLOS ONEのアブストは長いな