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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

細胞の再配置の機械的基盤 1.メダカの被包中の表皮形成

MICHAEL WELIKY and GEORGE OSTER(1990 Development)[The mechanical basis of cell rearrangement I. Epithelial morphogenesis during Fundulus epiboly]

 

理由

「理論生物学」第4章4-2「多細胞体形態形成のための細胞モデル」の参考文献

 

概要

多くの形態形成過程は、協調的な細胞の再配置によって達成される。これらの再配置は、細胞間の隣との関係の実質的な変化によって達成される。ここでは、直接的な細胞の隣の変化によって上皮シートにおける形態形成を研究するモデルを提案する。モデルよって、上皮内の隣接する細胞間の力のバランスを説明することで細胞の再配置が記述される。これらの力が機械的な平衡でないときに細胞の再配置と細胞の形が変化する。被包中のメダカの上皮膜層(EVL)内の細胞再配置は、構成的な上皮細胞間で生成される力のバランスの観点だけで説明できることを示す。細胞内における、周辺の弾性力と流体圧と浸透圧によって生み出される力を説明する。モデルによって、上皮細胞を機械的力が多角形のノードにかかるような2次元の多角形として特徴化する。このノードの力が機械的平衡にないときに、細胞のノードが突出もしくは収縮する。上皮シートにおいて、近接の細胞は共通の境界ノードを共有し、このとき機械的な力は細胞から細胞へと伝わり、接合結合を模している。これらの接合ノードは移動し、ノードは現れたり消えたりするため、多角形的な横の数が変化する。コンピューターグラフィックによって、生きている胚における細胞再配置のタイムラプス顕微鏡のモデルの数値シミュレーションと、固定した銀染色胚から得られたデータを比較することが出来る。モデルの細胞の機械的特性を操作することで、メダカの被包中の普通な細胞のふるまいを再現するのに必要な条件を研究することができる。それらが等方的に収縮するとき、単純なストレス緩和がEVLの内部細胞間の細胞再配置を説明するのに十分であることが分かった。実験観察により、EVLの周辺細胞の数が被包の間中継続的に減少する。このふるまいを再現するシミュレーションのために、EVL境界での細胞が収縮の張力より突出する力を生み出す必要がある。シミュレーション結果により、先端におけるEVL周辺細胞の機械的特性はEVL内部細胞とかなり異なることが示唆された。

 

印象的な図

Fig7. モデルがメダカの被包に必須な特徴を再現する。

 

雑記

Fig7の凄さのためにこの長ーーいアブストを読んだまである