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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

脊椎動物の肢芽の形態形成に基づく成長

Yoshihiro Morishita; Yoh Iwasa(2008. Bulletin of Mathematical Biology)[Growth Based Morphogenesis of Vertebrate]

 

理由

「理論生物学」第4章4-3「器官形成ダイナミクスの数理」の参考文献

 

概要

発生現象には、多くの遺伝子やそれらの制御関係が関与する。しかしながら、化学情報だけでは、組織成長中の器官の形態形成の変化を十分に理解することはできない。なぜなら器官の変形や成長には力学的過程が必要だからである。ここでは、数理モデルを作成して、細胞の増殖を通じて器官形態形成の変化を記述する。基本の考えは、(細胞増殖のような)局所的な体積源の適切な設計によって器官形態形成が導かれ、この設計は化学的な勾配によって与えられるということである。この考えを”成長に基づく形態形成"と呼ぶ。組織が小さい変形に対して柔軟であり、大きな変形に対して可塑的であるときにこの形態形成メカニズムが働くことがわかった。この考えを説明するために、脊椎動物の肢芽発生を研究する。肢芽は平面の側板から突出し、自己組織化的に遠くへ伸びる。肢芽形態の比率は異なるパラメーターに依存することが分かった。また、通常の形態形成に必要な条件も分かった。これは、いくつかの変異体の異常な形態形成を説明できる。ここで示された考えは他の器官の形態形成にも有効であると考えられる。

 

印象的な図

Fig10. 変異体の肢芽形成

 

雑記

ようやく「理論生物学」の参考文献の気になったやつ読み終わったー長かった。