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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

チューリングパターンによるパラメーター決定のための統計的方法

Alexey Kazarnikovac and Heikki Haario(2020.9, Journal of Theoretical Biology)[Statistical approach for parameter identification by Turing patterns]

 

理由

専門分野の雑誌で気になったやつ

 

概要

形態形成や多細胞構造の発生などの、生物のパターン形成において広く用いられる理論は、主要な例であるチューリングモデルのように純粋な化学過程に基づいてきた。最近の研究では、機械的な力の役割を強調することでその方針が変わってきた。しかしながら、その過程のつかみどころのなさ故、競合的な理論を定量的に区別することは難しい。異なるメカニズムが同様のパターンを起こす可能性がある一方で、固定されたモデルと固定されたパラメーター値で得られたパターンが、初期値の小さなランダム摂動によって、全く違う形になるが”同じ"タイプであったりする。このように、それぞれのモデルのパラメーター値は固定された解というよりはパターンのグループに対応する。この状況のために、統計的に聞こえる方法で、与えられたパターンに対応するモデルパラメータ-を区別する可能性をつくる。この方法によって、チューリングパターンのみ、すなわち、遷移データや初期値を利用することなく相対的な方程式の定常状態解を用いて反応拡散系のモデルパラメーターを同定することが出来る。この方法を、パターン形成の3つの典型的なモデル、フィッツフュー-南雲モデル、ギーラー-マインハルトモデル、ブラッセレータ―反応拡散モデルで試した。ベイズサンプリング法で訓練した異なる量のデータによって達成された正確性を定量化した。どのくらい大きな量のパターンの集合が、小さいけれどもシステムの構造を変化させ、経験的に目では区別できないような変化を引き起すかを検出することを示す。

 

雑記

「あー”数理”生物やってるのね」と言われる度「”理論”生物です」と訂正したくなるが、一応数字使ってるし文句は言えない。数学を使わず理論を構築することってできなくはないだろうが、思いつかない。