これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

シグナル伝達におけるホモ二量体形成:ダイナミクス、恒常性、過感受性、双安定性

Daniel Koch(2020.8, Journal of Theoretical Biology)[Homo-Oligomerisation in Signal Transduction: Dynamics, Homeostasis, Ultrasensitivity, Bistability]

 

理由

JTB読もうキャンペーン

 

概要

タンパク質のホモ二量体形成は遍在する現象であり、その正確な役割は多くの場合分かっていない。新しい機能を同定するために、この論文では、ホモ二量体形成の一般的な動的数理モデルの調査を行う。これらのモデルのシミュレーションと解析によって、自身のホモ二量体形成によって、単量体濃度の一過的な急上昇や恒常的制御のような、複雑な動的または定常的制御のふるまいが驚くほど多様になることが分かった。しかしながら、転写後修飾を考慮すると、従来の質量作用の動力学によって、反応経路の非対称な組み合わせ爆発によって熱力学の不一致が起こってしまう。収支速度方程式に従来の原理を導入することで、熱力学的整合性が再安定化する。このような収支モデルを用いて、ホモ二量体形成によって、複数酵素の制御を介して、偽の複数個所での修飾や動力学的偽の協調性が可能になることで双安定性が引き起こされ、それによって双安定な修飾反応の新しいモチーフを構成する。これらの潜在的なシグナル処理能力によって、ホモ二量体形成は、シグナル伝達において以前に認められていたよりも反応な役割をする。

 

印象的な図

Fig5. 修飾反応の過感受性と双安定性

 

雑記

二量体形成なんて生化学の教科書の前の方に書いてる普通の反応なのに、まだこうやって明らかになることが残っているんだな