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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

レニア:人工生命の生物学

Bert Wang-Chak Chan(2019.3, arXiv)[Lenia — Biology of Artificial Life]

 

理由

数理生物学会の発表で面白かったので

 

概要

(”滑らかな"を意味するラテン語のlenisから)leniaと呼ばれる人工生命の新しい系を報告する。これは連続的な時空間状態と一般的な局所規則のある二次元セルオートマトンである。計算機シミュレーションによって、leniaは複雑な自発的パターンの多様性や実世界の微生物に似たような"生命体"を維持することが示された。18科で400種以上が同定され、多くは双方向の進化計算を介して発見された。それらは幾何的であり、体節や繊毛があり、弾力性で、適応的で、かつ規則に基づいている。

時空間特性と基本設定に基づいて系の基本的な観察を示す。生命体に関する幅広い調査を行い、それらを階層的系統に分類し、パラメーター超空間にそれらの分布を示す。それらの形態学的構造と行動ダイナミクスを示し、それらの自己推進、自己組織化そして可塑性の可能なメカニズムを提案する。最後に、レニアの研究が生物学、人工生命、そして人工知能にどのように関係するのかを議論する。

 

印象的な図

Figure8. レニアの形の多様性

 

雑記

学会発表で見た時に、これまでのセルオートマトンと違って、画面内を”すいーっ”と動いていく様子が衝撃的だった。これが”滑らかな”と名付けた理由なんだろう。これはこれで可愛くて好きだけど、実際の生物がセルオートマトンでできているというイメージはまだ持てないから、生物への適用方法は気になるところ