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末端におけるセロトニン合成や放出、そして再取り込み

Janet Best;...,Michael Reed (2010.8, Theoretical Biology and Medical Modelling)[Serotonin synthesis, release and reuptake in terminals: a mathematical model]

 

理由

BMCのTheoretical Biology and Medical Modellingの中で、最もアクセスされてる論文のシリーズ

 

概要

背景

セロトニンは、幅広い種類の現象に関係する神経伝達物質である。例えば、採餌や体重制御、社会的階級、攻撃性や自殺傾向、強迫性障害アルコール依存症、不安、そして気分障害などである。中枢神経系におけるセロトニン作動系を十分に理解するためには、ゲノミクスや神経科学、電気生理学そして行動学が関係する。これらの異なる階層間での機能間に関係が見られているが、多くの場合因果メカニズムは知られていない。この科学的問題は、非常に困難であるが、ヒトの健康にとって重要である、なぜならセロトニン作動性シグナル系における症状に対処するために選択的なセロトニン再取り込み阻害剤や他の薬剤の利用ができるからである。

方法

単一のセロトニン作動性神経末端におけるセロトニン合成、放出、そして再取り込みの数理モデルを構築した。このモデルは、自己受容体の効果や、末端に向かうトリプトファンの輸送、セロトニン代謝、そして発火頻度に対する放出の依存性を含む。このモデルは実際の生理学的に決定されたものに基づいており、実験データと比較した。

結果

食事に対するセロトニンドーパミン合成における変化を比較し、ドーパミン合成はチロシンの可用性には鈍感だが、セロトニン合成はトリプトファン可用性には敏感であることが分かった。一般的にはフルオキセチン存在下で、細胞外セロトニンの除去に関するin silico実験を行い、実験データと比較した。セロトニン輸送体遺伝子やトリプトファンヒドロキシラーゼ遺伝子における様々な多型が、合成や放出、再取り込みに与える効果を調べた。自己受容体の恒常的なフィードバックメカニズムのために、この多型は予測より小さな効果を持っていることを発見した。セロトニン輸送体ノックアウトマウスの予期される定常濃度を計算し、実験データと比較した。最後に、セロトニン輸送体と自己受容体の特性が、フルオキセチン投与後の多様な投射領域における細胞外セロトニンの時間変化にどのような影響するかを調べた。

結論

セロトニン作動系は重要な生物学シグナルに対して頑健に反応するべきである一方で、同時に入力や発現レベル、発火頻度における通常の生物学的機能に直面して恒常性を維持する。これは、セロトニン輸送体やセロトニン自己受容体の特別な特性を含む、多くの異なる恒常的なメカニズムの協調的な効果を通じて達成される。セロトニンの生化学的効果がセロトニン電気生理にどのように影響を与え、また逆の影響を与えるか、そして選択的なセロトニン再取り込み阻害剤に存在下でそれらがどのように変化するかを十分に理解するためには、多くの困難な問題が残っている。これらの問題のいくつかを調べるのに数理モデルは有用である。

 

雑記

風呂で思いついたアイデア、風呂あがる頃には忘れている。風呂あるある。