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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

ケモカイン受容体CCR3はアトピー性皮膚炎中の組織再構成に関与する

Krisztian Gaspar;...;Bernhard Homey(2013, Journal of Dermatological Science)[The chemokine receptor CCR3 participates in tissue remodeling during
atopic skin inflammation]

 

理由

自分の研究関連

 

概要

背景:最近の研究から、アトピー性皮膚炎におけるリンパ球の補充と活性化経路に関する洞察が与えられてきたが、アトピー性皮膚炎における組織再構成の根底にあるメカニズムは不明なままである。

目的:アトピー性皮膚炎中の組織再構成を制御するケモカイン調節性情報伝達経路を解明すること
方法:フローサイトメトリーと免疫蛍光染色を用いたヒト真皮線維芽細胞のケモカイン受容体レパートリーの解析。アトピーと非アトピーの皮膚炎におけるケモカイン発現の定量リアルタイムPCRと免疫組織化学解析。細胞間Ca2+移動性と細胞増殖、移動そして修復能力の決定を通じたヒト真皮線維芽細胞上のケモカイン受容体CCR3機能の調査。

結果:ヒト真皮線維芽細胞の解析から、生体内外におけるケモカイン受容体CCR3が大量に発現していることが示された。その対応するリガンド(CCL5, CCL8, CCL11, CCL24とCCL26)の中で、乾癬の皮膚炎と比較したとき、アトピーにおいてCCL26が有意に特異的に増大したことが示された。生体内では、表皮角化細胞が、アトピー病変皮膚において最も多くのCCL26タンパク質発現を示した。皮膚の構造細胞では、IL-4やIL-13のようなTh2サイトカインがCCL26発現の主な誘導物質であった。上皮の線維芽細胞では、CCL26はCCR3シグナリングを誘導し、Ca2+移動性や線維芽細胞の移動や修復能力の強化を起こすが、増殖は起こさない。

 

結論:これらを合わせて考えると本研究の発見から、表皮から真皮へのケモカイン駆動性情報伝達経路はアトピー性皮膚炎における組織再構成を調節することが示唆された。

 

印象的な図

Fig5. アトピー性皮膚炎におけるCCR3-CCL26受容体-リガンド相互作用

 

雑記

オンラインポスター発表、印刷しなくてよいから非常に助かる