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概日リズムとドーパミンの数理モデル

Ruby Kim; Michael C. Reed(2021.2, Theoretical Biology and Medical Modelling)[A mathematical model of circadian rhythms and dopamine]

 

理由

購読してた雑誌から久々に新着記事来た

 

概要

背景

視交叉上核(SCN)は、哺乳類の一次概日時計(24h)を与え、睡眠-起床サイクルやホルモンリズム、神経伝達物質制御のような重要な生理学機能を調節することが知られている。実験結果から、これらの機能の中には、非常に複雑なネットワークを生み出す概日リズムと相互に影響するものがあることが示唆された。時計の下流の産物の中に、核内オーファン受容体REV-ERBとROBは、特に興味深い、なぜならこれらは主要な時計回路を調節するからである。最近の実験結果から、REV-ERBとROBは棟代謝に重要なだけでなく、ドーパミン(DA)合成と分解にも関与することが示された。これは、パーキンソン病気分障害のような状況の有用な臨床的解釈を持ちうる。

方法

微分方程式で構成される数理モデルを作成し、概日変数が光にどのように影響するのか、REV-ERBとRORが時計にどうフィードバックするのか、そしてREV-ERB,ROR,BMAL1-CLOCKがどのようにドーパミン作動系に影響するかを示す。モデルの構造は実験の発見に基づく。

結果

モデルの予想と、異なる明暗条件や遺伝的摂動の存在における時計要素の実験データを比較する。モデルの結果は、REV-ERBとROBの実験結果と合致しており、実験で観察されるチロシンヒドロキシラーゼとモノアミンオキシダーゼにおける概日変化を予想した。ドーパミン合成、放出と再吸収の既存モデルとこのモデルを接続して、実験観察とよく対応する細胞外DAとホモバニリン酸の概日的振動を予測することができる。

結論

数理モデルの予測は、幅広い実験観察と一致する。計算から、実験から提案されたREV-ERB,RORそしてBMAL1-CLOCKがDA系に影響するメカニズムはドーパミン変数で観察される概日振動を説明するのに十分であることが示された。数理モデルは、さらにドーパミン作動系への哺乳類概日時計の作用の調査にも用いられる。モデルは、概日時計における摂動がドーパミン作動系をどのように阻害するのかを予想するのに用いることができ、これらの阻害を改善する標的薬剤の発見に用いることが出来るかもしれない

 

雑記

 

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