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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

Tリンパ球は炎症、新生血管形成そして細胞外マトリックス再構成を制御することで皮膚の瘢痕を弱める

Xinyi Wang;...;Sundeep G. Keswani(2019.10, Advances in Wound Care)[T Lymphocytes Attenuate Dermal Scarring by Regulating Inflammation, Neovascularization, and Extracellular Matrix Remodeling]

 

理由

自分の研究関連

 

概要

目的

組織損傷と治癒には獲得免疫が関与することが知られている一方で、関与するリンパ球の特性と真皮瘢痕化への寄与はまだ不明である。T細胞の不足を復元することで真皮の瘢痕化を弱めるという仮説を立てた。

方法

 

マウスにおける生理学的真皮損傷治癒過程中のTリンパ球の時空間分布とそれらのサブタイプを評価した。さらに、野生型(WT)とリンパ球欠損の深刻な複合型免疫欠損(SCID)のマウス間の瘢痕化の結果を比較した。養子的にリンパ球サブセットを転移することで、相補的な機能獲得変異実験を行い、損傷したSCIDマウスにおける組織治癒へのそれらの貢献を実証した。

結果

CD4+ Tリンパ球は、野生型マウスの初日の真皮損傷中に存在し、30日目まで保持された。SCIDマウスの損傷は、WTマウスと比べて弱い閉鎖と、炎症の増加、新生血管形成の制限と瘢痕の悪化を示した。逆に、BとT混合リンパ球もしくはCD4+リンパ球のどちらか単体をSCIDマウスの転移は、コントロールのSCID損傷より少ない炎症、コラーゲン沈着、そして瘢痕化を持つ穏やかな治癒を起こした。一方で、ヘルパーTリンパ球(CD3+CD4+CD25−)やCD8+ T細胞やB細胞や制御性Tリンパ球 (CD4+CD25+CD127low)を含む他のリンパ球サブセットの転移は、瘢痕を減少しなかった。

革新

リンパ球が損傷治癒を遅らせ、瘢痕を減少させるという発見は新しく、真皮瘢痕をどのように制御するのかに関する新しい概念を与える。

結論

データから、初期段階の真皮損傷治癒における保護効果のある炎症とコラーゲン沈着に対するCD4+T細胞の抑制的役割が支持された。これらのデータから、瘢痕表現型の制御における獲得免疫が解釈される。

 

印象的な図

Figure 5. 損傷治癒に関与するT細胞のタイムライン

 

雑記

昨年一年間の自炊の写真をまとめたら結構いい感じになった