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合成バクテリア集団における確率的なチューリングパターン

David Karig;...;Ron Weiss(2018.8, PNAS)[Stochastic Turing patterns in a synthetic bacterial population]

 

理由

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概要

生物形態と形状の起源は、科学における最も深い問題の一つであり、生物系の発生と機能の理解の根底にある。1952年に、アラン・チューリングによって、化学的な形態形成は、空間的に均一な状態の線形な不安定性から生じうることが示された。これは、反応拡散系における周期的なパターン形成から生じるが、これは急速に拡散する抑制因子と遅く拡散する促進因子がある時のみである。これらの条件を自然に達成するのは残念ながら難しく、生物パターン形成におけるチューリング不安定性の役割は疑問視されてきた。最近、この理論は、ノイズのある促進-抑制の誕生と死の過程を含むよう拡張された。驚くべきことに、この確率的なチューリング理論から、特に促進と抑制の拡散係数の比率に厳しい制限が無くても、幅広いパラメーターでパターンが存在することが予測された。このメカニズムが実際に可能であるかどうかを調べるために、シグナル分子が確率的な促進-抑制系を形成するような合成バクテリア集団を遺伝的に作成した。合成パターン形成遺伝子回路によって、遺伝的に作成したバクテリアの初期の均一な列が不安定化される。これにより、単細胞よりはるかに大きい空間スケールで調節可能な特徴のある不均一なパターンが生まれる。実験パターンの空間的相関も理論予測による兆候と定量的に合致している。これらの結果から、チューリングタイプのパターン形成メカニズムは確率的に駆動されることで、幅広い生物パターンに通底しうる可能性がある。これらの発見から、生物の形態形成の統一的な像の基礎が与えられる。これは、確率的な遺伝子発現と動的不安定性の組み合わせから生じる。

 

 

雑記

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