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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

短距離と長距離のシグナリングの協調が発生パターニングを調節する

Carly Williamson;..;Adriana T.Dawes(2021.5, Journal of Theoretical Biology)[Coordination of local and long range signaling modulates developmental patterning]

 

理由

JTBの最新論文で気になったやつ

 

概要

多細胞生物の発生は、成熟した個体で機能的な組織を生み出すための、細胞運命の正確なパターンに依存している。共通して観察される発生パターンは、細胞運命の変更で構成され、このとき隣接する細胞は、対照的な遺伝子やタンパク発現量が特徴な異なる細胞運命を引き受ける。そしてこの細胞運命パターンは2つ以上の細胞で繰り返される。これらの細胞運命決定で生み出されるパターンは、少数のかなり保存されたシグナルネットワークで制御される。このネットワークのいくつかは、長距離の拡散性のシグナルで調節され、その他は局所的な接触依存的なシグナルによって調節される。しかしながら、これらのネットワークに関連する短距離と長距離のシグナルが、どのように相互作用して頑健かつ柔軟な運命パターンを生み出すかは完全には理解されていない。ここでは、数理モデルを解析して、2つの細胞の繰り返しパターンに注目して一列の細胞における細胞運命のパターニングを調べる。多細胞のODEモデルの分岐解析で離散的な区分として細胞を考えたことから、細胞が摂動に対する頑健性を持って外部シグナルに対する感受性のバランスを取る必要があることが示唆される。分岐点に近いパターンダイナミクスに注目するため、短距離と長距離のシグナリングを統合する連続体PDEモデルを導出する。分岐点に近いダイナミクスを持つ細胞では、長距離のシグナルへの感受性は、パターンが空間でどのくらい遠くへ拡張するかを決定する。一方で、局所的なシグナリング接触の数は、生み出されるパターンの種類を決定する。この研究から、発生パターニングを理解する一般的な枠組みが与えられる。さらに、長距離と短距離のシグナルが、線虫の外陰部の発達と昆虫の剛毛パターニングのような生物に広く観察される発生特徴だけでなく、腸陰窩における幹細胞運命の制御のような医学的に関連する過程

にどのような役割を果たすかの理解の枠組みも与えられる。

 

雑記

いつ見てもJTBアブストはながい