これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

血管内皮細胞成長因子で誘導される発癌は、マクロファージの再帰と別の活性化に依存する

Nina Linde;...; Margareta M Mueller(2012.1, Journal of Pathology)[Vascular endothelial growth factor-induced skin carcinogenesis depends on recruitment and alternative activation of macrophage]

 

理由

自分の研究関連

 

概要

炎症は、腫瘍の成長や侵略、血管新生に寄与する。マクロファージとその二極化がVEGF-A誘導型の皮膚発癌のモデルにおける発癌進行に与える寄与を調べた。ネズミのVEFG-Aをヒトの非腫瘍形成角質細胞系HaCaTに導入し、生体内で悪性腫瘍形成を起こした。生じた腫瘍の特徴は、拡張された血管新生と、侵略的な成長、そして悪性表現型を確立するのに寄与するM2二極型のマクロファージの数の多さである。したがって、 担癌動物からマクロファージを欠損させると、腫瘍成長が減少し、侵略が阻害され、増殖が減少し、血管新生が減少する。生体外では、VEGF-Aは化学誘導的にマクロファージに影響し、M2の二極化は起こさなかった。M2の二極化に関与する因子としてIL-4とIL-10を同定した。これらの因子は生体内で腫瘍細胞(IL-10)とマクロファージ(IL-4)によって産生される。生体外で組換えIL-4およびIL-10を加えると、侵略性の高いM2マクロファージの表現型が誘導され、生体内でIL-4受容体を阻害すると、マクロファージのM2二極化が阻害され、その結果、侵攻性の低い腫瘍の表現型が得られた。よって、M2マクロファージはVEFG-A誘導性の皮膚腫瘍に重要であるという証拠と、VEGF-Aは腫瘍形成を促進するだけでなく、抗炎症の微小環境を確立することで悪性腫瘍成長に寄与するという証拠が与えられる。しかしながら、VFGF-Aだけでは腫瘍促進の微小環境を生み出すのに不十分であり、M2マクロファージの二極化を誘導するIL-4とIL-10の存在が必要である。

 

雑記

実験の論文みてたら逆に実験やりたくなってきた