これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

ノイズのある線形変換がバクテリアにおける細胞サイズと遺伝子発現の振動の根底にある

Yu Tanouchi;...;Lingchong You(2015.7, nature)[A noisy linear map underlies oscillations in cell size and gene expression in bacteria]

 

理由

昨日読んだ論文と関連して面白そうだったので

 

概要

細菌は成長の間、分裂前に細胞のサイズは約2倍になり、その後2つの娘細胞に分かれる。この過程は、細胞ノイズの本来の摂動を受けるので、細胞サイズの恒常性の制御を必要とする。細胞サイズの制御と動態の根底にあるメカニズムは、ほとんど理解されていない。その原因は、ハイスループットな方法で長期間の個々のサイズを測るのが難しいことによる。ここでは、異なる大腸菌系列間と成長条件で長期間・単細胞の成長と分裂を測定し、解析する。集団内の細胞サブセットはいくつか(10以上)の世代で伸びうる周期で細胞サイズの一過的な振動を示す。我々の解析から、細胞サイズ制御を支配する単純な法則-ノイズのある線形変換-が、全ての系列のこれらの細胞サイズ振動の起源を説明することが示された。このノイズのある線形変換が細胞サイズの制御に関する負のフィードバックを実装する。すなわち初期サイズが大きい細胞は早く分裂する傾向があり、初期サイズが小さい細胞は遅く分裂する傾向がある。実験データと細胞成長と分裂のシミュレーションを組み合わせることで、このノイズのある線形変換が、ただ細胞サイズだけでなく構成的な遺伝子発現における一過的な振動を生み出すことを示す。この研究から、関与する生理過程の解釈と合わせて細菌の細胞サイズ制御の動態に関する新たしい概念が与えられる。

 

雑記

(初期サイズが大きい細胞は早く分裂する傾向があり、初期サイズが小さい細胞は遅く分裂する傾向がある。)言われてみればそうだろうけど、定量的に示したのはとても偉い。