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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

短期間で線状IgA水疱性皮膚症から疱疹状皮膚炎へと変化する症例

Koga H;...; Nakama T.(2017.2, J Dermatol. )[Case of shift from linear immunoglobulin A bullous dermatosis to pemphigus herpetiformis for a short period of time.]

 

理由

自分の研究関連

 

概要

疱疹状皮膚炎(PH)は、環状皮疹を示す傾向にある紅斑や水疱が特徴の疱疹の稀な変異である。免疫学的に、角質細胞表面での免疫グロブリン(Ig)G沈着が観察される。線状IgA水疱性皮膚症(LABD)は、表皮基底膜領域(BMZ)での線形IgA沈着がある稀な表皮下水疱症である。PHにおける環状皮疹はLABDを含む自己免疫性疱疹疾患の臨床所見に似ているが、PHとLABDは異なる免疫学・病理組織特徴を持つ。ここでは、LABDからPHに変化する最初の症例を報告する。70歳の日本人男性が腹部と四肢に水疱で囲まれる環状紅斑を示した。組織学検査から、表皮下水疱と好酸球性海綿状態が分かった。直接免疫蛍光抗体法は表皮BMZでのIgA沈着が示された。正常ヒト表皮・真皮抽出液、HaCaT細胞上清、BP180 NC16aおよびC末端ドメインのリコンビナントタンパク質、精製ラミニン-332のイムノブロット解析から、IgGやIgAのどちらかの反応性は示されなかった。デスモグレイン1と3そしてBP180の化学発光微粒子免疫測定法は全て陰性であった。これらの発見から単にLABDの診断が導かれた。口腔プレドニゾロンは皮疹を一過的に改善したが、皮疹の無い環状紅斑は残っていた。新しい皮膚生検から、好酸球のある角層下膿疱が明らかになったが、表皮下水疱は無かった。直接免疫蛍光抗体法から、角質細胞表面でのIgGとC3沈着が明らかになった。哺乳類デスモコリン1-3のIgG酵素関連免疫吸着アッセイから、デスモコリン1の反応性が明らかになった。これらの発見から、単にPHと診断した。

 

印象的な図

Figure1. 臨床所見

 

雑記

久々に読む論文は楽しいなぁ