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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

モジホコリの輸送ネットワークの近似におけるパターン形成と進化の特徴

Jeff Jones(2010.4, Artificial Life)[Characteristics of Pattern Formation and Evolution in Approximations of Physarum Transport Networks]

 

理由

アリの輸送ネットワークの論文を紹介したら、後輩が教えてくれた

 

概要

パターン形成の多くの研究は、複雑な多細胞ボディプランの発生における役割に特に注目してきた。しかしながら単純な生物ではパターン形成は成長とふるまいに内在するものである。このような生物の一つである、変形菌綱の粘菌Physarum polycephalumから発想を得て、単純な粒子様のエージェント集団によって形成される複雑な出現パターン形成と進化の例を示す。化学走性に基づく単純な局所的なふるまいを用いて、移動エージェント集団は自発的に、複雑かつ動的な輸送ネットワークを形成する。単純なモデルパラメーターを調節することで、特徴的なパターニングのマップが得られた。パラメーターマッピングの特定の領域が、特に複雑な長期的なふるまいを示す。このふるまいの中には、ネットワークの接続性を維持するネットワーク脱落の円型の収縮やネットワーク経路の分岐を含む。化学走性による不規則なスポットや迷路パターン、網目模様の形成が示された。スポットや縞パターンの規則的な周期配列の自己組織化を含む化学反発的ふるまいを用いて、他のチューリング様パターンの図が得られた。複雑な種類のパターンは反応拡散メカニズムを階層的な共役に頼ることなく、再現されることが示された。さらに、単純なプレパターン刺激から生じるネットワークのふるまいが、現れるパターン形成が機能的かつ、張力のような効果やネットワーク最小化、そしてネットワーク損傷に対する修復のような準物理的特性を持つネットワークへとどのように進化するのかの例を与えることが示された。これらの結果は、自然界における生物パターン形成の典型的な理論に関連すると解釈される。現れるパターン形成過程は空間的に代表される従来とは違う計算の方法として用いられる可能性があるようなメカニズムを示唆する。

 

印象的な図

Fig11. 集団サイズと感覚スケールの相互作用

 

雑記

反応拡散なしでこの模様がでるのはびっくり