これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

分節時計がバクテリアバイオフィルムにおける細胞分化をパターン化する

Kwang-Tao Chou;...;Gürol M.Süel(2022.1, Cell)[A segmentation clock patterns cellular differentiation in a bacterial biofilm]

 

理由

家の修理を頼んでいる間にあまり集中できないので、溜まっていた論文を読む。

 

概要

発生中に分節化を示す多細胞生物と異なり、単細胞生物の集団はこのようなパターニング(分節化)を持たないと考えられる。予想と異なり、発生中の枯草菌バイオフィルムの窒素ストレス応答の根底にある遺伝子発現は、組織化されたリング様のパターンになることを発見した。根底にある回路の数理モデリングと遺伝子プロービングから、このパターニングは脊椎動物の体節形成と同様に、時計と波のメカニズムで生成されることが示唆された。予測された窒素条件でさえ、分節に似た多環のリングを引き起こせることを示して、この仮説を実証した。さらに、このパターニングメカニズムは細胞自律的な振動で駆動されることを確かめた。重要なことに、時計と波の過程はバイオフィルム内の胞子化もパターン化することが示された。合わせると、これらの発見から時空間的に細胞の分化を組織化するバイオフィルムの分節時計が解明された。これにより、このようなパターン化メカニズムが植物や動物に限られたものであるという考え方に挑む。

 

印象的な図

Fig3. バイオフィルムは窒素ストレス応答の多環リングを生成できる

 

雑記

修理用シンナーのお陰でたまに意識が持っていかれる