これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

腫瘍壊死因子alpha欠失マウスは皮膚の発癌に耐性を示す

Moore, RJ;...; Balkwill, F(1999.7, NATURE MEDICINE)[Mice deficient in tumor necrosis factor-alpha are resistant to skin carcinogenesis]

 

理由

モカイン2

 

概要

慢性炎症と上皮癌との間の関連を考慮して、炎症性サイトカインTNF-alphaを欠失したマウスにおける皮膚癌のかかりやすさを調べた。TNF-alpha(-/-)マウスは良性と悪性の皮膚腫瘍の発生に抵抗性を示した一方で、DMBAによる開始とTPAによる促進またはDMBAを繰り返し与えることで誘導される。TNF-alpha(-/-)マウスは開始/促進の間に野生型マウスの5-10%の数の腫瘍が形成され、カルシノーゲン反復処理後は野生型の25%の発生数であった。TNF-alphaは腫瘍発生時に腫瘍と間室細胞に干渉できた。TPA促進の初期段階の特徴は角質細胞の過剰増殖と炎症であった。これらはTNF-alpha(-/-)マウスでは見られなかった。TPA誘導性野生型皮膚において、TNF-alphaは表皮では広範囲で誘導されるが、真皮では誘導されないことから真皮の炎症は角質細胞のTNF-alpha産生によって制御されることがわかる。TNF-alphaを誘導できるケモカインの欠失も皮膚腫瘍発生においていくつかの抵抗性を与える。野生型とTNF-alpha(-/-)マウスの腫瘍は同じくらいの悪性発達率であるため、TNF-alphaは発癌の後期にはほとんど影響しない。これらのデータによって、炎症性サイトカインが新しく発癌に必要であり、TNF-alphaは腫瘍形成の初期段階に重要であるということが示された。TNF-alpha産生の正常化をする戦略は癌の治療と予防に有効であるかもしれない。

 

雑記

尾道でのんびり猫と暮らしながら、数値計算をして生きていきたい。