第3章 生物の表面パターンと数理モデル(後編)
三村昌泰(2005.11, 東京大学出版会)[非線形・非平衡現象の数理 第2巻 生物にみられるパターンとその起源]
理由
パターン形成の勉強
概要
3.3 数理モデルを使って生物現象を理解する
3.3.1 チューリングモデルの復活
近藤らの研究は、実際の生物におけるパターンの動的な変化の発見と、それらが時間発展も含めてチューリングパターンと類似することを示した
3.3.2 魚の体表面の方向性
実際の魚の体表でも、空間相互作用を偏らせるような機構が働き、それによって縦縞や横縞のような普遍的に見られる縞模様ができる
3.3.3 数理モデルをどう生かすか
抽象化モデル:結果の普遍性を示すことができる
構造安定性が高い:関数を少し変化させても現れる性質が変わらないこと=対応する現象を実際の生物の世界で探すに足りる結果だと考えてよい
3.4 生命におけるさまざまな形態形成
3.4.1 葉脈パターン
反応拡散方程式と運河仮説
どちらのモデルでも条件によって、枝分かれパターンが形成できる。葉脈の形態形成は、オーキシンのような拡散性分子の濃度がカギになって引き起こされる可能性と、流量により引き起こされる可能性の、両方があることを示している。
ただし、ほぼ周期的な枝分かれが形成されるメカニズムは、両者の間で異なっている
3.4.2 反応拡散モデル
動的な変化である形態形成は、葉脈の先端部分だけで起こっており、樹状のパターンとして観察されるものは、すでに変化しなくなった部分である。
3.4.3 運河仮説
葉の成長により葉脈間の距離が拡がり、上限値を越えた時に新たな葉脈が形成される過程が繰り返されるため、見かけ上ほぼ等間隔のパターンが形成される
3.4.4 魚類錐体モザイク
理論研究に求められていること:実験的に検証可能な予測を導き出すこと
魚類では、網膜上に各種の錐体細胞が美しく規則的に配列している。
「細胞再配列」モデル:細胞間の接着力の違いと細胞移動によって魚類錐体モザイクが形成される
雑記
まだまだ知らない研究がたくさんある、自分の研究もそろそろやりたくなってきた