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皮膚損傷治癒中の表皮-真皮相互作用の多段階ハイブリッド数理モデル

Yangyang Wang;...; Qing Nie(2020.4, Exp Dermatol.)[A multiscale hybrid mathematical model of epidermal-dermal interactions during skin wound healing]

 

理由

自分の研究関連

 

概要

損傷の後、皮膚は複雑な損傷治癒プログラムを活性化する。損傷治癒の細胞やシグナルメカニズムはかなり研究されてきたが、表皮-真皮相互作用の原理と損傷治癒結果へのそれらの影響は部分的に理解されているだけである。表皮-真皮相互作用の影響に関する新しい知見を得るために、皮膚損傷治癒の多段階ハイブリッド数理モデルを開発した。モデルでは、促進因子と抑制因子で定義される拡散性シグナルを介する基底膜を通過する表皮と真皮間の相互作用を考慮する。シミュレーションから、表皮-真皮相互作用は真皮での適切な細胞外マトリックスの沈殿に重要であることが解明された。このことから、これらのシグナルは傷跡がどのように形成されるかに影響するかもしれないことが示唆された。モデルからいくつかの理論予測を作成した。1つ目は、表皮の促進因子と抑制因子の基本レベルは、真皮を定常状態に維持するのを助ける一方で、これらが無ければ隆起した傷跡様の真皮表現型が起こる。2つ目は、速い再表皮化力学系と共役した、基底表皮細胞による促進因子と抑制因子の損傷惹起的な増加は、真皮の傷跡サイズを減少させる。3つ目は、高密度の線維素凝塊は隆起した肥大化傷跡の表現型を起こす一方で、低密度の線維素凝塊は不全の表現型を起こす。4つ目は、深い損傷に比べて浅い損傷は、全体的な傷跡を減少させる。これらを合わせると、モデルから、真皮-表皮界面間のシグナルの役割の重要性と、線維素凝塊密度と損傷の幾何が傷跡形成に与える影響を予測される。このハイブリッド数理モデル方法は、他の複雑な組織系にも応用できるかもしれない。これにより、多変数のため完全に離散的なモデルで計算的に困難であるにも関わらず、動的過程のシミュレーションが可能になる。

 

印象的な図

Fig4. 線維素凝塊密度と損傷の幾何に依存する真皮損傷の治癒結果

 

雑記

最近は特に日の出が早くて日の入りが遅くてとても良い。