HLA-DPB1配列の進化的基盤
Morishima S,...;Sasazuki T, Morishima Y(2017.12, Blood.)[Evolutionary basis of HLA-DPB1 alleles affects acute GVHD in unrelated donor stem cell transplantation.]
理由
免疫サマースクール復習
概要
HLA-DPB1 T細胞エピトープ(TCE)の不整合アルゴリズムとHLA-DPB1遺伝子の3'非転写領域のrs9277534 SNPは非関連性の造血細胞移植(UR-HCT)の移植関連事象の重要な因子である。しかしながら、これら2つのメカニズムに関連は解明されていない。ここでは、日本の健康な被験者由来のよくある19のHLA-DPB1配列を使って、HLA-DPB1遺伝子領域全体と1589 UR-HCTペアにおけるHLA領域の多型SNPを次世代シーケンサーを用いて解析した。急性の移植片対宿主病(aGVHD)のリスクを単一のHLA-DPB1のミスマッチUR-HCTを持つ1286人の被験者で解析した。全体の遺伝子領域を用いた構成された系統樹から、HLA-DPB1配列は、HLA-DP2とHLA-DP5の2グループに分けられることが示された。エクソン3から3'UTR(Ex3-3'UTR)ゲノム領域内の系統関係はHLA-DP2とHLA-DP5グループの分別を明確に支持しているが、ここではエキソン2は非HLA-DP2と非HLA-DP5グループのHLA-DPB1配列が混ざっている。多形SNPデータからも2つのHLA-DPB1グループはEx3-3'UTRによって区別可能であることが示された。グレード2から4のaGVHDリスクはドナーHLA-DPグループにも関わらず、HLA-DP5グループの被験者でHLA-DP2の被験者よりミスマッチが有意に高かった。TCEのミスマッチを考慮すると、HLA-DP5グループのミスマッチとTCE-非許容のミスマッチのリスクの増加が、TCE-許容ミスマッチのある患者とHLA-DP2グループの患者でそれぞれ見られた。進化的解析によって、rs9277534は、高度に保存されたHLA-DPB1のEx3-3'UTR領域を示しており、エクソン2の多形を反映するTCEミスマッチアルゴリズムとは異なるaGVHD欠損を生じさせる可能性がある。これらの発見によって、HLA-DPB1ミスマッチUR-HCTにおけるaGVHDのメカニズムの理解が進んだ。
雑記
笹月先生、優しかったなぁ