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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

B細胞に向かう多分化前駆細胞の傾倒を進める3段階の転写初回刺激

Miyai T;...;Kawamoto H, Ikawa T.(2018.2, Genes Dev.)[Three-step transcriptional priming that drives the commitment of multipotent progenitors toward B cells.]

 

理由

免疫サマースクール復習

 

概要

幹細胞運命は、主要転写因子(TFs)とエピジェネティック修飾によって制御されている。細胞種の特異化を調節する遺伝子は同定されているが、細胞運目う決定間の転写回路と制御因子間のクロストークはほとんど理解されていない。B系列傾倒間の"タイムラプス”TFネットワークを同定するため、タモキシフェン誘導型のld3を持つ多分化前駆細胞を用いた。これは4-ヒドロキシタモキシフェン(4-OHT)を抜くだけで6日以内に仮想的にすべての細胞がB細胞になるin vitro系である。複数のタイムポイントでのトランスクリプトーム解析とエピゲノム解析によって、別に発現している遺伝子の10-30%がE2AやEBF1そしてPAX5を含む主要なTFsによって仮想的に制御されていた。驚くべきことに、重要なTFプログラムの開始前に予期しない転写プライミングを見つけた。Nr4a2、Klf4そしてEgr1などの即時型遺伝子を阻害すると、B細胞の産生が深刻に損なわれる。トランスクリプトームやタンパク質イントラクトーム、そしてエピゲノム特性などの複数のデータセットを組み合わせることで、3つの代表的な転写回路を同定した。骨髄におけるリンパ球前駆細胞の単一細胞RNAシークエンス(RNA-seq)解析から、生体内におけるB細胞系統に向けた多分化前駆細胞の特異化中の3段階のTFモデルが強く支持された。よって、この発見から通常と新生のBリンパ球発生を研究の青写真が与えられるだろう。

 

雑記

河本先生はお酒を飲んで喋ってくれる楽しい先生だった