これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

コクサギ型葉序に主な焦点を当てた植物における主要もしくは少数の葉序パターンの包括的な生成に関する数理モデル研究

Takaaki Yonekura;...;Munetaka Sugiyama(2019.6, PLOS Como)[Mathematical model studies of the comprehensive generation of major and minor phyllotactic patterns in plants with a predominant focus on orixate phyllotaxis]

 

理由

うちの研究室に近い研究をしていたので

 

概要

植物の葉は、葉序と呼ばれる美しい幾何で茎の周りに配列される。大半の植物では、葉序は二列性、フィボナッチ配列、対性、三列性などのパターンを示す。葉序パターンの規則性と制限された多様性を説明するために、多くの理論モデルが提案されてきた。それらの多くは葉原基間の反発する相互作用が原基の初期の位置を決定するという考えに基づいている。それらの理論モデルの中でも、特に注目すべきなのはDouadyとCouderの2つのモデルである。この重要な仮定は、各葉原基が新しい原基形成を阻害するエネルギーを一定量排出し、この阻害効果は距離に比例して減少するということである。コンピューターシミュレーションによって、葉序の主なタイプがDCモデルの枠組みで自己組織的に安定なパターンとして生じうることが示されている。しかしながら、いくつかの葉序タイプは解明されていない。興味深い例はコクサギ型葉序であり、これは一連の異なる多様な角度:180°,90°,-180°,-90°の周期的な繰り返しをもつ四列性の変化パターンである。コクサギ型葉序という言葉はOrixa japonicaからきているが、このタイプはいくつかの異なる遠い分類群で見られることから、これは葉序パターニングの共通メカニズムのいくつかの側面を反映している可能性がある。ここでは、コクサギ型葉序を生み出す能力に関してDCモデルを調べ、抑制力が原基の経年依存的な変化を導入してモデルを拡張することがコクサギ型葉序の設立に必ず必要であることを見つけた。DC2(EDC2)の拡張バージョンによって生成されるコクサギ型葉序は、実際のコクサギ型葉序の形態学的詳細を共有するのが見られる。さらに、EDC2を用いて得られた計算結果は、以前のモデルを用いて得られた結果よりも葉序パターンの自然分布によりよく合った。この結果から、抑制力を変えることが葉序パターンメカニズムの重要な要素であることが示唆された。

 

印象的な図

Fig1, コクサギ型葉序の実際の写真

 

雑記

こういう論文読むと、街路樹とか路傍の雑草とかも全部数理モデルに見えてくるから楽しい