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皮膚常在細菌と宿主の防御者としての役割

G.J.M. Christensen and H. Brüggemann(2014 Beneficial Microbes)[Bacterial skin commensals and their role as host guardians]

 

理、

博論の参考文献シリーズ

 

概要

ヒトの体とその共生細菌の共進化と機能の統合に関する近年の研究から、微生物が生理機能に重要な影響をもつことが明らかになってきた。この生理機能は、感染に対する保護、免疫系における反応パターンそして炎症調節性疾患の体内動態を含む。皮膚微生物に遍在する2つのメンバー、グラム陽性菌Staphylococcus epidermidisとPropionibacterium acnesは、それぞれヒト上皮と皮脂腺濾胞に多く存在している。彼らがうまくコロニーを形成できたのは、共生的あるいは相互依存的なライフスタイルの結果である。このライフスタイルでは、宿主にダメージを与える攻撃的な性質よりも、持続性をもたらすような性質が好まれる。いくつかの細菌の特性から、一過性の潜在的な病原体を寄せ付けないようにする宿主との同盟が示唆される。例えば、S. epidermidisは抗菌剤を生産する能力があり、P. acnesは短鎖脂肪酸を生産する能力などである。これらの特徴は自然宿主防御の宿主由来の要素と共に機能し、健康に関する皮膚常在細菌叢の構成を設立・維持する。しかしながら、宿主の状態に大きく依存して、ヒトの宿主とS. epidermidis/P. acnes間の関係は寄生的な特徴も持つ。両方の微生物は日和見感染症からよく単離される。S. epidermidisは、医療機器の使用に最も関連する院内感染の原因である。P. acnesは、尋常性ざ瘡の病態形成や他の多くの日和見感染症において主に重要である。この総説では、皮膚常在細菌叢のこれら2つの重要なメンバーの細菌要素と特徴を示し、それらが相互依存的または寄生的な特徴にどのように貢献するかを議論する。健康促進、もしくは疾患開始過程におけるそれらの役割を解明することで、皮膚疾患や他のS. epidermidis/P. acnes関連疾患に対する新たな予防戦略や治療戦略に繋がる。さらに、ヒト宿主と皮膚常在細菌叢の繊細な相互作用の理解を進める。

 

雑記

ものごとってうまくいかないね