これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

アトピー性皮膚炎のための抗インターロイキン31受容体A抗体

Ruzicka T;...;Kabashima K(2017.3, N Engl J Med.)[Anti-Interleukin-31 Receptor A Antibody for Atopic Dermatitis.]

 

理由

今度参加する免疫サマースクールの講師予習

 

概要

背景:インターロイキン31はアトピー性皮膚炎と掻痒の病態生物学的メカニズムにおいて重要な役割を果たす可能性がある。アトピー性皮膚炎の治療においてインターロイキン31受容体Aのヒト化抗体であるネモリズマブ(CIM331)の効能と安全性を評価することが目的である。

方法:この2相目の臨床治験において、ランダム化、二重盲検法プラセボ対照で12週間の試験に、通常の治療による制御が不十分であった中度から重度のアトピー性皮膚炎患者の成人に皮下ネモリズマブ(体重に対して0.1mg, 0.5mg, 2.0mg/kg)、4週間ごとにプラセボ、8週ごとに1㎏あたり2mgの診査量を投与した。主要評価項目は12週時点でのビジュアル-アナログスケールの掻痒スコアにおける基準値の改善割合とした。副次評価項目には湿疹面積のスコア変化と深刻度指数(EASI)とアトピー性皮膚炎の体表面積が含まれる。

結果:ランダム化を行った264人の患者のうち、試験を終えたのは216人だった。4週ごとにネモリズマブを投与した患者のビジュアル-アナログスケールの掻痒スコアは、12週時点で0.1mgグループでは-43.7%, 0.5mgグループでは-59.8%,2.0mgグループでは-63.1%,プラセボグループでは-20.9%であった。EASIスコアはそれぞれ-23.0%, -42.3%, -40.9%, -26.6%であった。アトピー性皮膚炎による体表面積の相対変化はそれぞれ-7.5%, -20.0%, -19.4%, -15.7%であった。4週ごとにネモリズマブを投与した患者のうち治療中断が起こったのは0.1%グループで9/53, 0.5mgグループで9/54, 2.0mgグルーで7/52そしてプラセボグループで9/53人だった。

結論:この第2相試験において、月1回のネモリズマブ投与は中度から重度のアトピー性皮膚炎患者の掻痒を有意に改善したことから、インターロイキン31受容体Aを標的にする効能が示された。試験のサンプルサイズと長さの限界は有害事象を考慮して結論に排除する。

 

雑記

本場の医学論文は専門用語が多くて難しいなぁ