これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

骨の外形を計算する3次元トポロジー最適化モデル

Sakashita M;...Kondo S; (2021.6, PLOS Computational Biology) [Three-dimensional topology optimization model to simulate the external shapes of bone.]

 

理由

ラボSlackに流れてきました

 

概要

骨の形が形成されるメカニズムを解明することは、脊椎動物の発生を理解するのに必須である。骨は、重力や筋肉の緊張などの外部負荷に抵抗することで、脊椎動物の骨を支える。多くの研究から、外部負荷に反応して骨の形成が変化することが報告されている。外部負荷の増加は骨の合成を誘導する一方で、外部負荷の減少は骨の吸収を誘導する。この関係から、骨の形態は外部負荷に適応するという仮説が導かれる。実際、トポロジー最適化を通じてこの関係をシミュレーションすると、骨内部の柱構造がうまく再現されたことから、骨の疾患の研究が促進された。一方で、脊椎動物の形態を決定する骨の外部構造をシミュレーションする試みは少ない。しかしながら、同じ種類の細胞が骨の内部構造も外部構造も形成するので、骨の外部構造もトポロジー最適化で再現される可能性がある。ここでは、3次元トポロジー最適化モデルを構築し、硬骨魚の椎骨の外部形態の再現を試みた。硬骨魚では、椎体の内部構造は不変であり、砂時計型を示す。一方で、内部構造を支える側方構造は種間で異なる。解剖観察から、異なる外部負荷を砂時計部分に加えた。このシミュレーションは多様な3次元形態を生み出し、中には、実際の硬骨魚椎骨と類似するいくつかの構造特徴を示した。さらに、砂時計型の幅などの幾何パラメーターを調節することで、硬骨魚椎骨の形の多様性を再現できた。これらの結果から、トポロジー最適化を用いるシミュレーションが硬骨魚椎骨の外部形態をうまく再現できることが示唆された。多様な脊椎動物の骨にこのトポロジー最適化モデルを適用することで、骨の外部形態が外部負荷に適応する方法を理解できる。

 

印象的な図

Fig7. 椎体の側方構造の、ドメインの幾何に対する依存性

 

雑記

窓の外側かつ網戸の内側に蜘蛛が入ってきてしまって困った