これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

アトピー性皮膚炎の数理モデリングによって一般的な4つの症状表現型の"ダブルスイッチ"メカニズムが明らかになる

Dominguez-Huttinger, Elisa;... Tanaka, Reiko J. et al(2017.6)[Mathematical modeling of atopic dermatitis reveals "double-switch" mechanisms underlying 4 common disease phenotypes]

 

理由

"Mathematical model skin disease"の被引用数3位

 

概要

背景:皮膚バリアは常に晒される生物、微生物、物理や化学環境ストレスに対する抵抗の最前線として機能する。皮膚バリア欠損と免疫反応の機能欠失、環境ストレスの動的相互作用はアトピー性皮膚炎(AD)の発生の主要な因子である。体系的な生物学モデリング方法は以前の生物学データの統合を通してこれらの複雑かつ動的な過程に対する重要な考えを生むことができる。

目的:皮膚バリア、環境ストレスそして免疫機能不全の動的相互作用を表すAD発症の多次元数理モデルを作り、ADの発症、進行、そして予防の一貫した機械論的な理解を達成する。

方法:この研究では、ほとんど無症状の温和な症状から治療体制の深刻な状態までAD症状の動的発症と進行の遺伝的、環境リスク因子として知られる相乗的な効果を調べた。

結果:モデル分析によってAD発症に必要な重要なネットワークモチーフとして2つの連結した双安定スイッチを持つ"ダブルスイッチ"を見つけた。一つ目のスイッチは炎症の開始を制御する可逆なスイッチであり、二つ目は最初のスイッチの継続的、または頻繁な活性化により活性化して、AD症状の悪化と体系的なTh2過敏化の不可逆な開始を起こす。

結論:双安定性スイッチの数理分析によって遺伝的リスク因子が体系的なTh2過敏性を引き起こす環境ストレスの閾値を下げると予測される。この分析によって、穏便かつ可逆な表現型から厳しく剛健な症状まで4つの通常の臨床のAD表現型を予測、説明し、ADの進行に対する軟膏の治療の予防効果を表す機械的説明を与える。

 

印象的な図

Figure.6 軟膏治療の効果

こういう図があるとモデルの効果を伝えやすいよな、と思う

 

雑記

昔読んだ論文だと読み進めるのが速いなぁ