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生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

嫌気性バクテリア感染研究のための新しい3D皮膚外植片モデル

Grazieli Maboni;...;Sabine Tötemeyer(2017.9, frontiers in Cellular and Infection Microbiology)[A Novel 3D Skin Explant Model to Study Anaerobic Bacterial Infection]

 

理由

埋もれ論文10.ラスト。

 

概要

皮膚感染研究は経済的・倫理的制約によってしばしば制限され、単層細胞培地のような代替案では応用が限られ、多くの細胞過程が反映されない。より機能的な代替案のために、3D皮膚培養モデルは宿主環境に存在する組織構造や細胞種の維持のような多くの利点がある。3D皮膚培養モデルは外科手術や宿主の虐殺から得た組織を用いて準備され、動物実験において効率的、魅力的、そして代替的である。3D培養モデルの多くは好気性病原体のために作られるが、現在嫌気性皮膚感染のためのモデルは存在しない。腐蹄症は嫌気性バクテリア感染であり、ヒツジの指趾間部の皮膚に影響して、継続的に動物の福祉や経済的な影響を世界中で起こしている。ディケロバクター・ノドーサスはグラムネガティブな嫌気性バクテリアであり、腐蹄症の原因物質である。その感染メカニズムやD.ノドーサスに対する宿主免疫反応はほとんど分かっていない。ここでは、D.ノドーサスに感染したヒツジの皮膚外植片を用いて嫌気性バクテリア感染を研究するための新しい3D皮膚生体外モデルを示す。この結果によって、D.ノドーサスは皮膚外植片に侵入することができ、重要な炎症マーカーの発現の変化が培養培地で定量化されることが示された。外植片の生存率は組織の完全性(組織学的特徴)で評価され、モデルで見られる76h後の細胞死(DNA断片化)は28hまで安定であった。qPCRによって完全に感染した皮膚外植片においてD.ノドーサスは定量化され、バクテリアはin situハイブリダイゼーションにおける蛍光によって、侵入している上皮を可視化することで見られる。培養培地における炎症性サイトカイン/ケモカインの測定によって、外植片がバクテリアに反応してIL1βを放出することが分かった。逆に、CXCL8産生レベルは偽感染外植片と違いがなかった。3D皮膚モデルは指趾間皮膚を現実的に再現し、これによってD.ノドーサスが皮膚に侵入してこのバクテリアに対して初期の細胞性炎症反応を引き起こすことが示された。この新しいモデルは嫌気性バクテリア感染を調査するための最初方法である。

 

印象的な図

FIg 4. 炎症性サイトカインの分泌量

IL-1βは感染してから4-16hで700pg/ml分泌される。

 

雑記

少しずつ雑務が終わり、研究ができそうな雰囲気がある。