第1章 バクテリアコロニーの多様性(前編)
三村昌泰(2005.11, 東京大学出版会)[非線形・非平衡現象の数理 第2巻 生物にみられるパターンとその起源]
理由
パターン形成の勉強
概要
1.1 はじめに-バクテリアとそのコロニー
本章では、もっとも単純な生物体の1つであるバクテリアのコロニー形成のふるまいが環境条件の違いだけでもいかに多様に変化するかを示す
1.2 コロニー形成の実験方法-バクテリアの培養と観察
枯草菌と納豆菌を用いる
環境条件1. 寒天の量:バクテリアの運動のしやすさ
環境条件2. ペプトン:バクテリアの成長と増殖のための栄養源
1.3 コロニーパターンのモルフォロジーダイヤグラム
環境条件の違いによって5つの領域に分かれ、それぞれの領域で典型的なコロニーパターンが観察される。領域の境界は物理・化学系での相図のように相境界がはっきり定義できるわけではない。
1.3.1 領域A:拡散律速成長
DLAモデル:ラプラス場のなかでのランダムパターンを記述する最も単純なモデル
DLA現象に特有の現象:遮蔽効果・反発効果
培地が固く養分濃度の低い領域Aでは、バクテリアコロニーは近似的にラプラし方程式を満たす養分濃度内でDLA的(自己相似的)に成長している
1.3.2 領域B:イーデン的成長
イーデンモデル:内部が密で、成長界面が比較的粗いパターンを生成する最も単純な反応律速成長モデル
成長方向の自己アフィン性:成長方向とそれに垂直な方向とでは、界面の粗さの変化が異なるスケーリング指数で異方的にスケールされる性質
1.3.3 領域C:周期的成長
拡張期(2,3h)と定着期(4,5h)を繰り返すことで同心円状のコロニーが成長する。
これらの期は菌密度によって切り替わる。
1.3.4 領域D:円盤状成長
フィッシャー方程式で記述できる
1.3.5 領域E:密集分枝状成長
DBM:密集した枝からなるにもかかわらず、外形(輪郭)が比較的スムースなパターン
1.4 実験結果のまとめ
細胞の能動的な運動がコロニーパターンの多様性に重要な役割を果たしている。
コロニー形成の現象論的なメカニズムを考える際、少なくとも第1近似では、細胞密度と栄養濃度を変数とする反応拡散方程式でモデル化できる。
雑記
自分のHPに今まで集めてきた生物パターンの写真を展示し始め、画廊みたいになって満足