これはブログではない

生物学(主に理論生物学)の論文を書くために読みます

協同性の発現をもつ絡み合った遺伝子制御ネットワークが、予測不能な環境変化に対する適応応答を与える。

Masayo Inoue and Kunihiko Kaneko (2021.8 Phys. Rev. Research)[Entangled gene regulatory networks with cooperative expression endow robust adaptive responses to unforeseen environmental changes]

 

理由

Slackに流れ着いていたので

 

概要

生物は環境変化んい対応しなければならない。一般的に、入力と出力を繋ぐ単純かつ一方向のネットワークによって正確で急速な応答が与えられる。しかしながら正確さとスピードの一方で、生物の応答は環境や細胞内ノイズ、そして変異に対して頑健でもなければならない。さらに、細胞は過去に経験したことのない予測不可能な環境変化にも反応して、細胞ネットワークを進化的に書き換えるより先に絶滅を避けて多くの世代を残さなければならない。予測不可能な変化であっても細胞がどのように頑健に適応するのか、という疑問に答えるため、相互に促進と抑制を行う遺伝子制御ネットワークを調べた。そして、複雑に絡み合ったネットワークが、このような応答性の反応を満たす適切な入出力関係を生み出しうることが示された。このように絡み合ったネットワークが機能する条件は、それぞれの遺伝子発現が、低いヒル係数の反応をもつ傾きがゆるくて信頼性が低い時である。この低い信頼性を補償するため、制御ネットワーク内にいくつかの迂回経路が存在する。このような迂回を平均する利益によって、単純な一方向の回路と比較して、ネットワークにおける変異と同様に環境や細胞内ノイズに対する高い頑健性をネットワークが示す。さらに、予測不能な環境変化に対する適切な応答によって機能的な出力が可能になり、同様の動的な発現応答や予測不能な入力を含む、無関係な入力を多くの遺伝子が示せることが分かった。反応のこの類似性を照動的時間正規化と動的なモード分解法によって統計的に確認した。複雑に絡み合ったネットワークは遺伝子制御ネットワークにおけるデータに共通して観察される一方で、一般的な遺伝子発現応答は微生物実験のトランスクリプトーム解析で測定されるので、この結果から細胞がどのように適応応答をうむかの答えが与えられ、細胞ネットワークにの異なる設計原理が得られる。

 

雑記

研究のリズムを取り戻すため、まずは論文読みから。